2011-01-01から1年間の記事一覧

独りごちる大晦日

2011年はとくべつな年だった、と日本人なら誰もが思うだろう。異存はない。しかしその反面、正直いうと僕はつい最近まで、実感としてなかったのである。 たぶん3月11日という日に日本にいなかったせいだろう。その後もずっと中国暮らしだったから、何かが意…

インフルエンザの季節

上海の街ではときどきマスクをしている人を見かけた。ところが、日本のような白いマスクをしている人は誰もいない。 個性的といえばいいのか、色あいはそれほど派手ではないが、チェック柄とか縞模様とか……とにかく実用一点張りの白いタイプは見かけなかった…

水郷の町と臭い

上海市の面積は6,369平方メートル、群馬県や大分県とほぼ同じ広さである。 市の西の端一帯は、江蘇省、浙江省と接しており、江南地方とよばれる水郷地帯を形成している。 「朱家角」という町は、上海市に属する江南の水郷古鎮のひとつである。中心部から高速…

聖なる夜/上海

このブログをはじめてから、これほどの期間、更新をさぼってしまったのは初めてかもしれない。ちょっと忙しかった、というのがいい訳なのだが、じつは、上海へ行っていたのである。 仕事でしかたなく、あるいは使命をおびてやむをえず、などという上等な理由…

年末あれこれ

モスクワに遠征したナポレオンが、敵と戦うまえに、ロシアの冬の寒さや雪にやられて撤退した話しは有名である。 「冬将軍」の語源ともなった逸話であるが、いよいよそのロシアからシベリア寒気団が頻繁にやってくる季節になった。 年々寒気団が苦手になって…

後始末考

近所のおばあちゃんがお亡くなりになった。同じ班の家庭なので、慣例どおり葬儀までのあれやこれやの手伝いをした。 今年はこれまで、我が町会から十を越える葬式を出したそうである。葬儀担当役かと、我が町会長は困惑しておられた。世帯数が多いので毎年い…

ライブの個人的事情

エリック・クラプトンとスティーブ・ウィンウッドといえば、60年代の終わりに打ち上げ花火のように出現したスーパー・ロック・グループ、ブラインド・フェイスの中心人物である。 ブラインド・フェイスは一瞬のできごとであり、両者ともむしろその後の、それ…

安全保障と隣人

中国の漁船が、韓国領海内で問題を起こしているようだ。 尖閣での日本との事件を彷彿させてしまうが、中国漁船の行動は政治色が払拭できないので、事の真相をよむのがむずかしい。とはいえ、韓国側に犠牲者が出たことによって、今後の成り行きが心配である。…

流行語とは何だろう

今年の流行語大賞は「なでしこジャパン」だそうである。 納得してもいいのだが、なにかひっかかるなぁ。もちろん「なでしこジャパン」そのものに異議を申し立てるわけではないのだが。 ちなみにトップテンをみてみると、「絆」「スマホ」「どじょう内閣」「…

京都へ行った

クルマの運転はきらいじゃないが、大都市やその周辺を走るのは苦手である。 最近のクルマはナビがあるので、車線変更や交差点であわてふためき手に汗にぎることも少なくなったが、それでも大都市圏の交通量は十分うっとうしい。 たとえば、北陸自動車道から…

老人予備軍の感慨

小説家・藤原智美が書いた『暴走老人』(2007年/文春文庫)というユニークな本がある。現代社会のなかでしだいに生きにくくなってきた老人の怒りやとまどいを、自己の経験を通して抽出したセミドキュメンタリーである。 本では小説家の主観がベースになって…

来し方行く末

ぼ〜っとしていたら12月になった。帰国して早くも一ヶ月が過ぎてしまった。 このままぼ〜っとしていたらすぐ正月がやって来そうである。引きつづき来年もぼ〜っとしていたらどうなるのか、最近自分の姿がぼ〜っとなりはじめた。 それで、本業の編集や本作り…

クリスマスの問題

「先生、日本はもうクリスマスですか?」「えっ? まだだよ。どうして?」 「ブログに書いてありましたよ」「ああ、あれね。日本では、みんなクリスマスまでに、プレゼントを買ったりして準備するんだ。それで、街がにぎやかになるんだよ」 「先生も何か買う…

立ち読み今昔

中学校の帰り道、よく地元の本屋に寄って、立ち読みをした。 きまって漫画の雑誌だったが、本屋のおやじ(またはおばさん)はそんな僕たちをみつけると、わざとらしく寄ってきて、近くの平積み台や書棚の整理をはじめて牽制した。機嫌が悪いときには、すばや…

「申しわけない」とは何か?

街では早くもジングルベルの声がきこえる。12月に入ると一色になる。これも内需のひとつかと思うけれど、どこを向いてもクリスマスなんて、日本はつくづく変な国だと思う。 震災や原発で被災した人たちは、どんな思いで年の瀬を迎えるのだろうか。故郷をはな…

悲しきMac

あ〜またやってしまった。いい調子で書きすすんで、もう終わりかけていたところに、調べものをするためにうっかり他のサイトに行ってしまった。 ーーこのブログのことである。下書き保存やブラウザの新規ウインドウを開く、という操作をしなかったのである。…

中国とサッカー

ちょっと前に、日本対北朝鮮のワールドカップサッカーの予選試合があった。日本は、アウェーの平壌での試合だった。 すでに最終予選への切符を手にしている日本は、主力選手を欠いている布陣とはいえ、かなり格下の北朝鮮に敗れてしまった。まるでサンマの大…

さびついたアンテナ

上海ではCCTVのニュースをたまに見ていたが、帰国してからはほとんどテレビを見なくなった。 新聞も先月から一紙だけの購読にした。家計が逼迫してきた、という理由もあるが、あの Morning Sun 新聞には愛想がつきたのである。 付き合い出してやがて30年にな…

戦略的ケータイ関係

最近の日本の携帯電話は、グローバル機能のついた機種がほとんどだろう。外国から電話することができるし、メールだってできる。 僕も中国では重宝した。とくにメールは便利だった。 ところが中国国内では、当然のことながら中国の携帯電話のほうが使い安い…

忘却の迷宮

傘などはワリとどこにでも忘れたりしないタチだったのだが、最近はどうも怪しくなってきた。 中国では、入った飲食店に、脱いだ上着や帽子を置いて出ていきそうになったことがあった。おつりをもらわず出て行ったこともあった。 最近では、物をどこに片付け…

身分証のよもやま

中国の高速鉄道の切符を買うときには身分証明証が必要である。外国人ならパスポートである。当然それがないとチケットは買えない。 今年の5月までは、そんなものがなくても自由にチケットが買えたので、ずいぶんめんどう臭くなったものだ。とくに外国人は自…

山から遠くはなれて

日本へ帰ってきたら山へ行きたい、と思っていた。ずいぶん山から遠ざかっている。 中国でも日本の富士山は有名で、授業でもよく学生から「富士山に登ったことがあるか」と聞かれる。「ない」と答えると「ええ〜?」と多少けげんな目で見られる。 日本には、…

料金所の怪

中国へ渡るときに自分の車を処分した。ETCを付けていたので、高速道路の料金所ではずいぶん楽だった。 先日、連れ合いの車で岐阜県の高山まで往復した。以前は、富山市で高速を降りてから国道41号線を南下しなければならず、そこからの山道にけっこう時間が…

日々の雑感

都道府県の名前を全部いえない大学生も、昨今では珍しくないらしい。 僕は地理が好きだったので、小学校のころから都道府県はおろか、アメリカ50州まで覚えてしまっていた。 そんなようなことをネタに、同じようなオタクっぽい同級生とよく地理の遊びをした…

昨今の高貴なご家族

温泉宿で、ぼんやりとテレビのワイドショーを見ていた。ちょうど、さる高貴なご家族のニュースが流れていた。 長男の家系はずいぶん忙しいんだなぁ、とそのとき思ったが、僕も一応長男なんだなぁ、とすかさず思った。それで、思わず膝をたたきそうになったが…

日本のランキング

日本へ帰ってきたら首相が交代していた。もちろん知ってはいたけれど実感がなかった。しかし、これでようやく直接統治を受ける身となったわけだ。 アメリカの経済誌『フォーブス』が選んだ「世界で最も影響力のある人物70人」によれば、我がN田首相は62位で…

日本モードと今後

入国審査を終えて空港を出た瞬間に、体内の日中モード切り替えスイッチが自動的にオフになった。 ほっとして青空を見上げ、空気がきれいだと思ってしまった自分は、やはり少しうかつで鈍感になっていたかもしれない。 日本は、依然として放射能が降りそそぐ…

上海、再見!

降り立った小松空港は、秋晴れの少しばかり汗ばむ陽気だった。あの上海から来た身には、ここは過疎地かと思えるほど、車も人もまばらな風景だった。 昨日、帰国した。空気が新鮮に感じた。 (photo:上海の風景6葉)

今時の若者像

中国語学校のことも少し書いておかなければなるまい、と今日このごろは思う。 じつは、学校は日本人を対象に特化している。したがって、学習者は全員日本人である。上海で働いている現役ビジネスマンから、その配偶者(主に奥様連中)、語学を身に付けキャリ…

地図迷の思考と行動

本屋に行くと、ついつい地図を買ってしまう。たとえば上海なら、市街地図を何種類も持っている。それぞれ用途がちがう(と自分で思っている)のだが、一般的にはひとつで十分にちがいない。 以前にも白状したが、僕は地図オタクである。中国語でいえば「地図…