2011-09-01から1ヶ月間の記事一覧

環境問題

部屋の白い壁と天井が高さが、このホテルがわりと古いことを物語っている。必要最小限の調度品はずいぶんくたびれているし、敷かれているじゅうたんは、新品がどんな色だったのか想像もつかない。 シャワーは水漏れが激しく、壊れるのも時間の問題だろう。掃…

上海のカオス

「北京人(北京っ子)は中国人。上海人(上海っ子)は上海人」といういい方があるそうだ。 何となく、東京と大阪の関係に似ていなくもない。大阪人は、日本という枠をこえたアイデンティティを持っているような気がする。 たとえば生粋の大阪弁話者は、とり…

立場が変われば見えるもの

言語をおしえる教師の本分としては、声が大きくはっきりしている、板書の字が正確である(きれいであればなおいいが)、授業にメリハリがある(退屈させない)、いつも機嫌よく接する、などということが即座に思い浮かぶ。 そして何よりも大切なのは、教案を…

カップルの領域

夕方、買い物に出かけた。大通りで信号を待っていたら、同じように待っている一組のカップルが目にとまった。 それほど若くない2人である。男は角刈りで、背も高くがっしりした体型だった。男の身体に窮屈そうに張り付くTシャツからは、筋骨たくましい上半身…

晩ご飯の情景

大きな大学の周辺は食事する場所に困らない。大学を取り巻く通りには、たくさんの店が軒をつらねている。 学生も国際色豊かであり、白人系の若者もけっこう見かける。そのせいもあるのだろうか、ピザなどをあつかう欧風の店もけっこう繁盛している。 ひとり…

得感冒

異文化のギャップに驚いたあの泉州でさえ、しばらく住んでみると、宮崎アニメのキキではないが、この町が好き、と思ったものだ。 ここ上海はどうだろうか。観光に来たことも含めれば、もうずいぶんこの町に滞在している。でも、どうしてなのか、自分はこの町…

非日常的な日常

上海市の虹口区に、魯迅公園という有名な公園がある。木々が生い茂るかなり広い公園である。 口の悪い中国人は、“老人公園” と揶揄するそこには、実際、ひがな一日多くの老人が公園でくつろいでいる。 そんな光景を見ていると、中国も近い将来、一人っ子政策…

お宅のオヤジはオタク?

いいやつなんだけど、会うとそのうちイライラしてしまう。どうもやっぱり相性が悪い。しまいには悪態をついてしまう。そんな友だちが、だれしも一人ふたりいるのではないだろうか。 僕と9月という月は、そんな感じである。どうもこの月は、心身のバランスを…

農家の記憶

遠い記憶の底から、あの太陽光線を十分吸収した、香ばしい稲の匂いがする。 遠い記憶ーーもう遠くなってしまったのだろうか。父や母が稲田で作業し、戦力として子どもたちがかり出される。孫たちは、非日常的な収穫作業を、遊びの延長として家族のまわりで体…

空っぽ頭がシビレる日

宿題なんだっけ? と、若いクラスメートにそっと訊いた。先生の中国語がわからなかったのである。 人間ができている彼らは、哀れむような顔もせず、自分の親父のような男にやさしくおしえてくれた。 どうも僕はクラスの問題児になりそうである。ま、聴解能力…

今さらの学生、とほほ生活

パラダイスかと思っていたら、それは幻想だった。180度立場を換えて学生になったのはいいが、学生とはこんなに忍耐を必要とするものなのか、と感じた。 忍耐、というと不自然かもしれないが、僕にとっては忍耐に近い。 その忍耐を数えあげてみる。まず、椅子…

お茶で一服

「先生、お元気ですか?」「ああ、A君、久しぶりだね。元気だよ」 「先生は、また中国へ来ましたか?」「ああ、そうだよ。夏休みはどうだった?」 「休みなんかありませんよ」「バイト? でも、9月から大学だろ?」 「じつは、考えたんですけど、やっぱり家…

打算と誤算

日本語を使って日本語をおしえる「直接法」の限界を感じて、これは少し中国語を身に付けたほうがよいナ、と思った。 何も中国で勉強しなくても、と幾人の方々にもいわれた。中国がそんなに好きなの? などと皮肉っぽくいわれたこともある。 それらの質問に答…