2010-11-01から1ヶ月間の記事一覧

音と声の休日

あれはまさしく鶏の断末魔の声だった。とても悲しげで哀れな鳴き声だった。なんだか耳の奥にのこった。 明け方うとうととしていたが、あれで目が覚めた。ときどき聞こえるけれど、今朝のやつはちょっと感情移入してしまいそうだった。 学生に「声」と「音」…

銀行閑話

あまり近づきたくないところに、警察、役所、銀行などがある。これは日本でも中国でも同じだ。 なにも後ろめたいわけではないのだが、警察や役所はともかく、こちらで生活していると銀行とはけっこう接触がある。 めったに窓口を利用することはないが、口座…

日本は魅力的か?

中国人学生が日本語を学ぶ動機は変わってきている。ということを以前書いた。 中国の学校では、第一外国語はやはり英語である。大学でも英語は人気である。だから、定員からはじき出されて、やむなく日本語などの他言語を勉強する学生も少なくない。 それで…

Intermission

11月20日の記事に書いたD県には、古刹が点在している。そのうちのいくつかを訪ねた。それらはずいぶん山奥であったり、悪路の果てにようやくたどり着くような寺院であった。 そこには、媽祖や道教、仏教が混交したふしぎな世界があった。(O_O)

定番のお話

およそどこの学校にでもあるのが、怪談話しである。 ここの日本語学校にも、もちろんある。校舎が古いので、その手の話しも、さもありなんという感じだ。建物は元々学校仕様ではなく、汎用的な賃貸物件である。以前は、ある民間会社が使っていた。 いつごろ…

酒と涙と頭痛と山

7時すぎにドアをノックされた。僕はベッドのなかから声にならない声を出した。 一瞬ここがどこだったか忘れていた。半身を起こすと、頭がズキンズキンした。吐き気さえする。やばい。昨夜の、あの赤い酒が怪しい。 そっとベッドから抜けだそうとした。クラク…

父の思い出

授業で学生とやりとりをしていると、ときどきじれったくなることがある。おしえた動詞の形などがなかなか口から出てこないと、待てなくなってついついこちらが口を開いてしまう。 学習者の発話を引き出すテクニックはいろいろあるのだが、気持ちに余裕がない…

安全な食べ物はどこ?

かつて、評論家のS高誠は「健康食品店へやってくる人は、みな不健康そうな顔をしている」というようなことをいっていた。 神経質な健康志向を揶揄しての物言いなのだが、日本ならそんな生活が可能だろう。しかし、ここS市でそれを実行しようと思ったら、おそ…

粗悪品がスタンダード

世界の工場だから、いろいろなものを作っている。日本で使っているもろもろの物を、中国で作っている。中国で使っているあらゆる物も、中国で作っている。 こんな話しをきいたことがある。たとえば、同じブランドの製品でも、中国で出回っているものと、日本…

気がかりな晩

夕暮れの山々を、車窓からぼんやり眺めていたけれど、Dの心はそこにはなかった。 風邪をこじらせて具合がよくなかった母を残してきたことが、後悔の気持ちとともに、棘のように胸に刺さったままだった。彼女の心はまだ実家にあった。 学校を休んで母の看病を…

毎日の食べること(その2)

朝がた腹を下し、じりじりと迫り来る出勤時間までのタイムリミットと戦う。……そんなことが最近めっきりなくなった。 まことに喜ばしいかぎりでありますが、貧弱な食生活はあいかわらずだ。したがって、落ちた体重はなかなか元にはもどらない。ズボンのベルト…

日々、是、為すがまま

学生から、自分はどう見られているのだろうか、とときどき思う。ひとりっ子が多いはずだから、彼らの父親の方が断然若いだろう。 とすると、彼らの祖父に近いかもしれない。まあそこまではいかなくとも、その中間あたりだろうか。いずれにしろ、イメージとし…

何とかしてほしいセンセイ

本来このブログで書くつもりはなかったことのひとつが、政治的なことである。しかし、トラブルの当事国にいると、文句のひとつもいいたくなるのである。 尖閣問題が、依然としてくすぶりつづけている。日本側のおそまつさが、またも露呈している。加えて昨今…

青春のモヤモヤ

最近はようやく、何か運動をしないといけないな、と思うようになってきた。 ついこの前までは、暑くて運動どころではなかった。なにしろ、外でいきなりスポーツなどをすれば、ただではすまない。まちがいなく救急車である。 でも、救急車は出動するのだろう…

A鎮への旅

ずいぶん変なグループに見えたことだろう。中年も盛りをすぎた男と、高校生のような女子ふたり。実際彼女らは18歳なのだから、高校生の年代である。 どうも中国の南のほうの人たちは、だいたい小柄だ。くだんの女子も、見ようによっては中学生ぐらいに見える…