安全な食べ物はどこ?

 かつて、評論家のS高誠は「健康食品店へやってくる人は、みな不健康そうな顔をしている」というようなことをいっていた。
 神経質な健康志向を揶揄しての物言いなのだが、日本ならそんな生活が可能だろう。しかし、ここS市でそれを実行しようと思ったら、おそらく途方に暮れてしまう。
 僕もそういうことに多少は関心があるほうなので、日本では日々食べるものにある程度気をつかっている。野菜、魚、肉、加工食品。少し選べば安全なものが手に入る。若干コストがかかるかもしれないが、家族や自分の身体をまもるためには、必要な経費だと思っている。
 しかしここでは、生活圏である寮や学校のまわりで買い物したり外食したりするかぎり、ほとんどあなた任せの世界である。毎日どんな毒物を摂取しているかわからない。それも、特定の毒物を繰りかえし取り込んでいる可能性だってある。
 せめてスーパーで買う商品ぐらいは、念入りにチェックしようと思う。それはできる。保存料、着色料、酸化防止剤などという添加物の表示だって、あることはある。
 問題がある。スーパーへ行っても、箱や袋のその手の表示を見ている人などいやしない。僕などは、癖でついつい見てしまうが、中国語だから頭でかんがえてしまう。だから、しばらく固まることもある。
 しまいには、不審者として店員にマークされるかもしれないので、ほどほどにしている。広いスーパーでは、店員があちこちに配置されているから危ないのだ。でも、だいたい表示自体が信用できないのだから、徒労なのだが。
 ちょっと足をのばせば外資系のスーパーがあり、そこには輸入加工食品もある。しかしかなり高価だ。そんなものを食生活のメインにすえれば、今度はエンゲル係数を気にかけないといけないハメになる。
 悩みはつきない。と思いつつも面倒くさいので、特定の店に通ったり、決まりきったものを買ったりしている。いかんいかん。
 我がクラスの学生たちにも、そのあたりの話しをしてやりたいと思うが、まだまだ「きのうスーパーを買い物します」の世界である。
 ふ〜っ、当分先のようだ。(/_;)
(photo:たぶんバリバリの現役)