2010-01-01から1年間の記事一覧

2010年も暮れゆく

今年最後のブログである。ふと後ろを振り返ってみると、よくもまああまり世のためにならないことを、ここまで書きつらねてきたものかと、感慨深いものがあります。 こちらでは、年末の気配はまったくといっていいほどないけれど、紅白もレコ大も除夜の鐘もな…

冬の朝

おそらく今この町で日本人は僕ひとりだろう。と、なんの確証もなく、ふとそんなことを思った。でもそれは思い上がりかもしれないな、とすぐさままた思いなおした。 約束の時間まで辛抱できす、僕はチェックアウトした。ホテルの部屋のたばこ臭さに耐えきれな…

Intermission

F建省はお茶の産地である。S市内のA県は、なかでも鉄観音の、中国でも屈指の産地である。今は冬場で取引もシーズンオフだが、人口約100万人の県内に、お茶の店が約1000軒あるという。 最初の1葉はお茶の取引所。3葉はA県市内にて。最後の2葉は、郊外の名刹、…

学生的休日の過ごし方

週明けの月曜日の朝には、よく学生にウォーミングアップも兼ねて、週末にしたことや行ったところを質問したりしている。 めんどくさそうに彼らは答えるが、そのなかに「寝ました/寝ていました」のたぐいの答えが多いことに気がつき、ずいぶんいらだってもい…

毎日の食べること(その3)

毎日のことだから、ついつい不平不満がたまって、また書いてしまう。食事のこと。 学校の近辺は下町なので、庶民が利用するリーズナブルな店がたくさんある。10元も出せばごはんに湯(タン=スープ)、おかずが3品ほどそろう。どうです、おいしそうでしょう…

師走・有情

師走も終盤である。キリスト教のあの聖なる日も近い。日本ではさぞうるさいことだろう。毎日のようにどこからかY下T郎のあの歌が聞こえ、聖なる定番曲がいたるところから流されている。 今の時期ばかりは日本にいなくてよかった、と思う。しかし、日本人の節…

日常の穴

ホテルのフロント嬢は、ニコリともせず「没有(メイヨー)」といった。またメイヨー(ないよ)かい、と思いながらもう一度聞いた。部屋は空いているか? と。 たいていはあるんだよね。高い部屋が。380元? ほらきた。あるじゃない。ほかをあたるつもりがな…

「小紅帽」顛末

断る理由もなかったので、気やすく引き受けてしまった。「小紅帽(赤ずきんちゃん)」の舞台演出を。 というといささかおおげさかもしれないが、日本語指導のつもりで入ったところが、いつのまにかがっぷり四つにかかわってしまったのである。 僕が担任して…

小紅帽(赤ずきん)ーその2

すっかりいい気持ちになったオオカミをつれて、赤ずきんは恐るおそるおばあちゃんの家へ向かいました。 おばあちゃんの家までくるとオオカミは、 「赤ずきんちゃん、おじさんもおばあちゃんのお見舞いをしてもいいかい?」 といって、赤ずきんといっしょにお…

小紅帽(赤ずきん)ーその1

赤いずきんの似合うかわいい女の子が、ある学校にいました。赤ずきんちゃんと呼ばれていました。 あるとき赤ずきんは、お母さんにいわれて、森のむこうに住むおばあちゃんのお見舞いに行くことになりました。 赤ずきんは、お母さんからあずかったお菓子とブ…

寒いので温暖化の話しなど…

最近のこの欄で書いてきたことといったら、せいぜいが身の回りで手の届く範囲のことばかりに終始しているような気がする。 タイトルが「瑣事」だからそれでいいのかもしれないが、たまには世界情勢についての考察もしておかないといけないかな、とふと思う。…

ビールとワインの周辺雑事

ワインを買ってきた。まだ開けていない。でもじつは、早いところ飲まないといけないのである。 わけあって、学生たちと寸劇の練習をしている。それは、後日この欄で書こうと思っているので詳細ははぶくが、その劇でワインが小道具としているのである。空瓶で…

悩み多き語彙

この前、パソコンを買った。この間、パソコンを買った。最近、パソコンを買った。以上3つの文は、先頭の副詞的な名詞のみがちがう。 あるいはまた、「気持ちがいい」と「気分がいい」はどうちがうのか。 そういうことを学生から質問されるとき、日本人なら無…

あうんは中国に合うん?

これまでこのブログにコメントを寄せていただいた方々には、いつも励まされてきました。ほんとうにありがとうございました。 じつをいえば、けっこう苦しい日もありました。一回パスしようかな、と思ったことも何度かあります。でも、パソコンを開いてこのア…

一人の問題

夕方寮に帰ってチンタオビールを開ける。まあひとつの至福のときである。 しかし、至福はすぐに終わる。缶ビールの一缶なんてすぐである。もちろん追加摂取してもいいわけだが、たいがいはやめにしておく。初期の感動はもう味わえないからである。 それが「…

音と声の休日

あれはまさしく鶏の断末魔の声だった。とても悲しげで哀れな鳴き声だった。なんだか耳の奥にのこった。 明け方うとうととしていたが、あれで目が覚めた。ときどき聞こえるけれど、今朝のやつはちょっと感情移入してしまいそうだった。 学生に「声」と「音」…

銀行閑話

あまり近づきたくないところに、警察、役所、銀行などがある。これは日本でも中国でも同じだ。 なにも後ろめたいわけではないのだが、警察や役所はともかく、こちらで生活していると銀行とはけっこう接触がある。 めったに窓口を利用することはないが、口座…

日本は魅力的か?

中国人学生が日本語を学ぶ動機は変わってきている。ということを以前書いた。 中国の学校では、第一外国語はやはり英語である。大学でも英語は人気である。だから、定員からはじき出されて、やむなく日本語などの他言語を勉強する学生も少なくない。 それで…

Intermission

11月20日の記事に書いたD県には、古刹が点在している。そのうちのいくつかを訪ねた。それらはずいぶん山奥であったり、悪路の果てにようやくたどり着くような寺院であった。 そこには、媽祖や道教、仏教が混交したふしぎな世界があった。(O_O)

定番のお話

およそどこの学校にでもあるのが、怪談話しである。 ここの日本語学校にも、もちろんある。校舎が古いので、その手の話しも、さもありなんという感じだ。建物は元々学校仕様ではなく、汎用的な賃貸物件である。以前は、ある民間会社が使っていた。 いつごろ…

酒と涙と頭痛と山

7時すぎにドアをノックされた。僕はベッドのなかから声にならない声を出した。 一瞬ここがどこだったか忘れていた。半身を起こすと、頭がズキンズキンした。吐き気さえする。やばい。昨夜の、あの赤い酒が怪しい。 そっとベッドから抜けだそうとした。クラク…

父の思い出

授業で学生とやりとりをしていると、ときどきじれったくなることがある。おしえた動詞の形などがなかなか口から出てこないと、待てなくなってついついこちらが口を開いてしまう。 学習者の発話を引き出すテクニックはいろいろあるのだが、気持ちに余裕がない…

安全な食べ物はどこ?

かつて、評論家のS高誠は「健康食品店へやってくる人は、みな不健康そうな顔をしている」というようなことをいっていた。 神経質な健康志向を揶揄しての物言いなのだが、日本ならそんな生活が可能だろう。しかし、ここS市でそれを実行しようと思ったら、おそ…

粗悪品がスタンダード

世界の工場だから、いろいろなものを作っている。日本で使っているもろもろの物を、中国で作っている。中国で使っているあらゆる物も、中国で作っている。 こんな話しをきいたことがある。たとえば、同じブランドの製品でも、中国で出回っているものと、日本…

気がかりな晩

夕暮れの山々を、車窓からぼんやり眺めていたけれど、Dの心はそこにはなかった。 風邪をこじらせて具合がよくなかった母を残してきたことが、後悔の気持ちとともに、棘のように胸に刺さったままだった。彼女の心はまだ実家にあった。 学校を休んで母の看病を…

毎日の食べること(その2)

朝がた腹を下し、じりじりと迫り来る出勤時間までのタイムリミットと戦う。……そんなことが最近めっきりなくなった。 まことに喜ばしいかぎりでありますが、貧弱な食生活はあいかわらずだ。したがって、落ちた体重はなかなか元にはもどらない。ズボンのベルト…

日々、是、為すがまま

学生から、自分はどう見られているのだろうか、とときどき思う。ひとりっ子が多いはずだから、彼らの父親の方が断然若いだろう。 とすると、彼らの祖父に近いかもしれない。まあそこまではいかなくとも、その中間あたりだろうか。いずれにしろ、イメージとし…

何とかしてほしいセンセイ

本来このブログで書くつもりはなかったことのひとつが、政治的なことである。しかし、トラブルの当事国にいると、文句のひとつもいいたくなるのである。 尖閣問題が、依然としてくすぶりつづけている。日本側のおそまつさが、またも露呈している。加えて昨今…

青春のモヤモヤ

最近はようやく、何か運動をしないといけないな、と思うようになってきた。 ついこの前までは、暑くて運動どころではなかった。なにしろ、外でいきなりスポーツなどをすれば、ただではすまない。まちがいなく救急車である。 でも、救急車は出動するのだろう…

A鎮への旅

ずいぶん変なグループに見えたことだろう。中年も盛りをすぎた男と、高校生のような女子ふたり。実際彼女らは18歳なのだから、高校生の年代である。 どうも中国の南のほうの人たちは、だいたい小柄だ。くだんの女子も、見ようによっては中学生ぐらいに見える…