悩み多き語彙

 この前、パソコンを買った。この間、パソコンを買った。最近、パソコンを買った。以上3つの文は、先頭の副詞的な名詞のみがちがう。
 あるいはまた、「気持ちがいい」と「気分がいい」はどうちがうのか。
 そういうことを学生から質問されるとき、日本人なら無意識のうちに使い分けているところだが、このちがいを学生にどう説明するか、周到に論理を組み立ててわかりやすく答えないと、敵はなかなか納得してくれない。
 日本人ならあたりまえのことを、あたりまえじゃない人にわかってもらうのは、ずいぶん骨が折れる。
 それとはべつに毛色がちがう悩みもある。たとえば、「ハンサム」という形容詞(形容動詞)。日本語教育のテキストにはけっこう出現するが、これなどは今日本でどんな人が使っているのかと、いつも疑問に思う。
 これに代わる語彙がない。しいていえば「イケメン」だろうか。でも、イケメンが語彙といて定着しているのかはわからない。一過性の流行語の可能性もあるから。
 ハンサムな中国人は誰? と学生にきいた。芸能人やスポーツ選手の名前があがった。しかし、温家宝をあげた学生も少しいた。政治にはあまり関心がないのか、と思っていただけに意外だった。なるほど温家宝ね。たしかに穏和なイメージのやさしい風貌ではある。
 それから蛇足ではあるが、12月2日の記事にアップロードした写真の御三方。左から劉少奇孫中山、そしていわずと知れた毛沢東
 このブログにコメントを寄せていただいた、ねこさんから質問がありました。真ん中の人は、スェン・ヂョンシャンです。日本では孫文といったほうが通りがいい。辛亥革命と中山服で有名なあの人です。ソン・ナカヤマではありません。そう読むと、あの有名なサッカー選手とまちがえられてしまう。そう、ゴン・ナカヤマ。
 しゃれた答えを用意した学生もいた。僕は毛沢東が大好きだ、と。彼の評価については、もちろん功績は功績であるが、今の中国ではビミョ〜な部分もある。
 しかし、件の学生はニヤリと笑って人民元紙幣を取り出したのである。(^_^)
(photo:“中山路”は繁華街。若者の街だ)