小紅帽(赤ずきん)ーその1

 赤いずきんの似合うかわいい女の子が、ある学校にいました。赤ずきんちゃんと呼ばれていました。
 あるとき赤ずきんは、お母さんにいわれて、森のむこうに住むおばあちゃんのお見舞いに行くことになりました。
 赤ずきんは、お母さんからあずかったお菓子とブドウ酒を持って出かけました。
 ところが、森にさしかかると、恐いオオカミがそっと近づいてきました。赤ずきんは、いい大学をめざしていつも勉強ばかりしていたので、極度の近視になってしまって牛乳瓶の底のようなメガネをかけていました。そのため、オオカミを人間のおじさんだと思いました。
 オオカミは、赤ずきんがおばあちゃんのところへ行くことを知り、ふたりを食べてしまう計画を立てました。そして、森には恐いオオカミがいるからつれていってあげよう、と舌なめずりをしながら赤ずきんにささやきました。
 でも、ふと赤ずきんのバスケットを見ると、自分の大好きなブドウ酒が入っているではありませんか。オオカミは、思わず赤ずきんにブドウ酒を無心しました。
 赤ずきんは、危険な森を案内してくれる “おじさん” へのお礼に、ブドウ酒を一本あげることにしました。
 するとオオカミは、さっそくそのブドウ酒をごくごく飲みはじめ、ついには飲みほしてしまいました。オオカミは酔っぱらってしまいました。
 ふらふらになりながら、オオカミは先頭に立って歩きはじめました。赤ずきんはついていきましたが、 “おじさん” のお尻についている変なものに気がつきました。ポケットから拡大鏡を取り出してよく見ると、それは尻尾だったのです。
 たいへんです。赤ずきんは “おじさん” がオオカミだということに気がつきました。
 「おじさん、おばあちゃんにお花を摘んでくるから、ちょっと待ってて」
 赤ずきんはオオカミからはなれると、オオカミから見えないように携帯電話を取りだし、おばあちゃんに電話をかけました。「ウェイ(もしもし)」(電話の会話は中国語で)
 おばあちゃんは、もうすでに元気になっていました。そして、おばあちゃんはいいアイデアを思いつき、赤ずきんにオオカミをつれてくるようにといいました。(つづく)
(photo:舞台稽古)