2010-01-01から1年間の記事一覧

女子のちから

この日本語学校は、教育の現場をすべて日本人教師が取り仕切っている。校長はもちろん中国人だが、中国人教師はあくまで日本人のサポートである。 したがって、教務関係のほとんどを日本人が担っている。役職は3人だが、じつはすべて女性なのである。この学…

秋はどこへいった?

あの暑かった夏はいったいどこへ行ったのか? と思うくらい、最近は急激に気温が下がってきた。そういえば、S市に秋はないよ、とだれかがいっていた。どうもそんな様相ではある。 何ごとも極端なこの国、妙に納得がいく。しかし納得している場合ではない。CC…

にっちゅうかんけいふたたび

となりの家は、最近とみに羽振りがよく、広大な敷地に豪邸を建てた。高級外車を何台となく所有し、人の出入りもひっきりなしだ。毎晩毎夜パーティがあるらしく、その豪奢な邸宅からは、明かりと笑い声の絶えることがない。 一方我が家は、ついこの前までは、…

遠足の味

日本流にいえば「バス遠足」というところだろうか。先週の木曜日(21日)は、全校で課外活動日となった。 その行事は以前から予定されていたわけではなく、その前の週にいきなり決まった。いかにも中国流である。何ごとも突然、あるいは行き当たりばったりな…

63という数字と今日

僕はいろいろな木を植えている。種類がたくさんあるので、育つ早さもそれぞれちがう。勝手に育つ木もあれば、保護して手をかけないと育たない木もある。 そして、ちょうどいい頃合いをみて一本づつ伐ってしまう。べつに惜しくはない。そのために植えたのだか…

言語について思ったある夕べ

外国人に街で、英語で話しかけられたらどうしょう。なんて、中学校高校時代に思ったことはないだろうか。 考えてみればおかしな話しである。実際にそういう外国人(とくに英語話者)はいるだろうが、ここは日本語圏(日本の話しね)である。 僕たちはふつう…

懐かしの麗君

テレサ・テンといえば、ある年代以降のおじさんは、懐かしさとともにあのふっくらとした穏和な顔を思い浮かべることだろう。カラオケに行けば、まだかなり歌は残っているものの、日本ではもう過去の人である。 しかし、中国ではそうではない。テレサ・テン、…

にっちゅうかんけい

日本にいればさほどさし迫った問題ではない。でも、こちらにいるとやはり事情はちがう。どうしても敏感になってしまう。頼むよ、ことを荒立てないでくれよ、と願わざるをえない。 日中関係。そう、例の尖閣問題に端を発した最近の情勢は、どうしても気になる…

平凡な一日

ときどきは、学校のことも書こうと思う。ほんとうにアイツは中国で仕事をしているのか、と思われているフシがあるので、このへんできっちり書いておきたい。 朝起きて顔を洗って形式の時系列になってしまうが、そのへんの退屈は今回がまんしていただきたい。…

たまたまたまたま

赤い糸、といわれるものがある。目に見えないから、実際にあるのかどうかはわからない。 人は他人といろいろな “糸” でつながっている。3D画像が大流行だが、そのうち、そんな “糸” が見える特殊なメガネが開発されるかもしれない。 まあ、それはSFの世界だ…

音の最時期

このまえ日本に帰って思ったことがある。日本はこんなに静かな国だったのか、と。 もちろんそれは相対的なものであるが、いいかえれば僕は、中国の騒音や喧噪に慣れたということなのだろう。 日本にいるころは、なんとうるさくておせっかいな国なんだろう、…

監視付きの博物館

40年ほど前まで、我が家は茅葺きの家だった。家のなかに広い土間がある、典型的な農家造りだった。 集落内にも、そんな茅葺き農家がかなり残っていたが、豊かになるにつれて現代住宅に姿を変えていった。 茅を葺きなおす職人が減ってきた、という事情もある…

Intermission

久しぶりの “休憩” です。写真をお楽しみください。最初の4葉は「蔡氏古民居」。あとの2葉は、天后宮です(天井ですが)。蔡氏の記事は、次回のせます。(^_^)v [%7C%7C%7C%7C%7C]

仏事の効用

日々雑事をこなしていると、時間は目の前を一瞬のうちに通りすぎ、そして消費されてしまう。しかし、6年という歳月を区切って振り返ってみれば、消費したはずの時間が目の前にあらわれてくる。 父が亡くなって6年。仏事では7回忌となる。なじみの僧侶は、め…

染みついた日本

搭乗口のチケットチェックで止められた。後続の乗客たちが発する奇異な視線を背中に感じた。係員がキーをたたき、なにかを確認している。 ちょっと緊張したが、すぐに解放された。チケットを訂正され、シート番号が変わっていた。ダブルブッキングだろう。ず…

日本語学校の夜はふける

日本語学校の学生の90%は寮生活である。そのため、放課後から夜9時まで、自習のために教室が開放されている。 僕も夜ときどき、担当のクラスを見まわりに行く。習得のおそい学生をサポートしたり、質問を受けたりするためだ。しかし、それがどうも連中の巧妙…

ドラマはいつも裏通りに

そういえば、あの人は今どうしているのだろう? と、思ったりすることがある。 「気配り」の人といえば、ある年代以上にとってはちょっと懐かしい。気配りは空前のブームになったけれど、ことばは死語となった。今は使うことさえ恥ずかしい。 たとえば、この…

漢字もちょっとちがう感じ

こう暑くっちゃビールでも飲まんとやっとれんわ。と思って、入った食堂でビールを頼む。期待にむね踊らせ待っていると、出されたビールが冷えてなかった。というケースはしばしば。 しかし、まだビールが置いてあればいいほう。ぶっきらぼうに「没有(メイヨ…

散歩の方法

外国人に日本語を教えるようになるまで、考えたこともなかったことを、日々考える。因果なところに首をつっこんだものである。 たとえば、若い人がよく使う「ちょっと教えてもらっていいですか」「見せてもらっていいですか」などの、この「〜てもらっていい…

あなたのことをけっして忘れない

尖閣問題が、少しきな臭くなってきた。 日本にいれば、ふ〜んまたかい、というところだが、こちらにいるとどうしても気になってしまう。つまり、あまりネガティブなニュースはありがたくない。 中国(中国人)にとって日本(日本人)は、他の外国(外国人)…

鳥泊めない歯無し

なくしたものを並べ立てると十指にあまるかもしれない。体力、記憶力、適応力、判断力、青春、我が子の感触、親父、ある種の自信、お気に入りのストラップ……。 けっして戻らないものも少なくない。ここの厳しい気候に耐えかねて、大陸の土と化していった我が…

テキトーと適当

「加油!」は北京オリンピック以来、日本でも知られるようになった。ジャァヨウ! がんばって! がんばることは、日本人は大好きだ。いつもがんばらなくてはいけない。がんばってください、は挨拶がわりだ。いわれてときどき思う。何をがんばればいいのか、…

タイトルの話

これでもけっこう悩んでいるのである。毎回のこの記事のタイトルに。 絵画展や写真展などを見にいくと、ついつい気になってしまうのもタイトルである。ひねりがきいているタイトルをみつけると、思わずニヤリとさせられる。 ところが、ときどき作品の説明に…

犬はいぬ。狗はいる

道を歩いていると、中型の黒い精悍な犬が、僕のわきを急ぎ足で追いぬいていった。ダンナ、お急ぎですか……と声をかけたりはしないが、日常的に往来をけっこう犬が行き来している。 首輪をつけている犬もいるが、そうでない犬もかなり見かける。それらが人に交…

貴州をめぐる邂逅

貴陽という町を知ったのは、たしか5年ほど前だったろうか。ボランティアで日本語をおしえていた僕は、そこで貴陽出身の女性と会ったのだ。 彼女は、日本人と結婚して子どもも産まれ日本に住んでいたので、流ちょうな日本語を話した。雑談のあいまに彼女は、…

ボディブローと自重

アジアのいくつかの国を旅行してきた。ほとんど仕事のあいまの休日を利用しての旅だから、せいぜい長くて1週間から10日程度である。 そのぐらいなら、何か不測の事態がおこったところで、我が島国へ逃げ込めばいい。カトマンズで赤痢を発症し、ふらふらにな…

夏のお仕置き

調子にのるなよ、とおっしゃいましたか。 けっして調子にのっていたわけじゃないんですけど、たしかにあまりご機嫌うかがいもせずに、勝手にあちこち動きまわりました。ちょっと反省しています。 とりあえず、しばらくおとなしくします。どうせ仕事も忙しい…

フェチシストの不満

地図を見るとワクワクする。と、人にいうと怪訝な顔をされるか、あからさまに眉をひそめたりされる。 最近は、地図が好きな人間は少数民族だ、ということがわかってきたので、できるだけそのことをさとられないようにして生きている。迫害されても困るからな…

開店/本格営業

9日1日の記事について訂正をひとつ。 後半部分のエピソード。「H」は名詞でも使う。〈な形容詞〉(形容動詞)での使用のみをとっさに考え、学生への回答が正確ではなかった。 しかし、この訂正をどうやって学生に伝えようか迷っている。Hの名詞での使用例を…

CCTVについての一考察

ジョングォジョンヤンディエンシタイ。 野太いナレーターの声が番組の間にかならず流れる。国営放送、中国中央電視台(CCTV)である。 日本にいるときから、テレビはニュース番組ぐらいしか見ていなかったが、こちらでもジョングォジョンヤンディエンシタイ…