フェチシストの不満

 地図を見るとワクワクする。と、人にいうと怪訝な顔をされるか、あからさまに眉をひそめたりされる。
 最近は、地図が好きな人間は少数民族だ、ということがわかってきたので、できるだけそのことをさとられないようにして生きている。迫害されても困るからな。
 でも、小学校や中学校で、友だちと世界の国の首都をきそって覚えたり、アメリカ50州を暗記したりしなかっただろうか。しかし、どうしてアメリカだったのだろう。そのころは中国なんてまったく視界になかった。というか、日本はなにかにつけてアメリカ様だったから、しかたがなかったのだろう。
 それがどうだ。僕は今では中国の行政区は全部ソラでいえるのだ。省都だって知っているぜ。あっ、これってやっぱりフェチ?
 今日はS市の地図のことを話すのだった。
 A1ぐらいの大きさの、あまり厚くないコート紙に印刷された市街図がある。見やすいのだが情報量が少なくて実用にはほどとおい。しかし、それでもこれがいちばんマシな地図なので持ち歩いているが、すぐに折り目からやぶれてしまう。水分にもよわい。
 それを見越して2部買っておいた。どうせそんなに早く改訂版がでることもなかろう。で、そろそろ2代目に替えなければいけなくなった。
 最近、地元のくわしい地図が出版されない(であろう)理由がひとつわかった。街の風景が日々どんどん変わっていくのである。そんななかで詳しい地図を出版しても、瞬間から古くなる。もちろん変わらない風景もあることはあるが。
 あるいは、地図なんてものを中国人は、さほど必要としていないのかもしれない。外国人には必要だが、そのあたりはあまり考慮されていないようだ。
 あるいは、学校で子どもたちは行政区を暗記したり、日本の都道府県名を覚えたりしないのかもしれない。後者はありえないだろうが。
 我が校でも、貴州省を知らない学生がいた。自国のことぐらい覚えておけよ。そして、日本語を勉強するついでに日本の47都道府県も覚えてくれるとうれしい。
 そうなると……フェチか? (^_^)
(photo:肉になる運命?)