漢字もちょっとちがう感じ

 こう暑くっちゃビールでも飲まんとやっとれんわ。と思って、入った食堂でビールを頼む。期待にむね踊らせ待っていると、出されたビールが冷えてなかった。というケースはしばしば。
 しかし、まだビールが置いてあればいいほう。ぶっきらぼうに「没有(メイヨー)」といわれることも少なくない。まだまだ冷えたビールは一般的ではないようである。
 町を歩いていると、「酒店」や「大酒店」という建物を見かける。なかには大きなビルもある。おもいあまって、冷えたビールを飲ませてくれ! と叫んで飛び込んでもつまみ出されることになる。
 中国を少しでも知っている人にはいわずもがな。そこはホテルである。一説には、むかしの飯屋の名残りがそのままホテルの意味になったそうである。「飯店」というホテルもある。
 目立つビルには「◯◯大厦」という名も多く見かける。「◯◯ビル」という意味だ。
 おもしろいのは「◯◯中心」。これも多いが、何の中心? と思ってしまう。英語に訳すると、すぐに謎はとける。そう、中心はCenter。文化中心や貿易中心は……な〜んだ。
 でもちょっとおもしろい。日本にも「◯◯センター」はたくさんある。全国的にとくに多いのが、「ふれあいセンター」である。日本人はふれあいが好きらしい。自治体が好きなのかな。
 しかしこれを中国にもって来ると、「接触中心」。なんだか急にべた〜とした感じになりますね。ちょっと怪しいふんいきも。日本のハコモノ同様、閑古鳥だったりして。
 汽車に乗ろうとしたら線路がない。「汽車」はバスのことである。正しくは「公共汽車」。では日本でいうところの汽車は? 電車は? 「火車」という。火の車。台所とは関係ない。
 バスがやってくると、大きく「无人」という表示。人がいない、という意味だが、じゃあ運転しているのは誰? 車掌がいないという意味らしい。つまりワンマンバス。しかし、中国の運ちゃんはいろいろ主張する、いたって “ワンマン” な野郎が多い。
 歯医者には近寄るな、といわれたことがある。消費者へのサービス精神がまだ未発達なこの国のことを考えると……歯が痛くなってきた。ところが、外食の料理のなかにときどき石がまじる。
 「牙科」のお世話にはけっしてなりたくない。(>_<)
(photo:郊外の町にて)