秋はどこへいった?

 あの暑かった夏はいったいどこへ行ったのか? と思うくらい、最近は急激に気温が下がってきた。そういえば、S市に秋はないよ、とだれかがいっていた。どうもそんな様相ではある。
 何ごとも極端なこの国、妙に納得がいく。しかし納得している場合ではない。CCTVのお天気マダムも、つい最近まで、暑さに気をつけなさいよ、といってたじゃないか。それがどうよ、ここ2、3日は、寒さに気をつけなさいよ、である。
 その豹変ぶりは、ちょっとひどいじゃないかい。某NHKのN井さんなら、けっしてそんなことはいうまい。たぶん。
 僕は、寒さにはめっぽう弱いのである。血液が末端まで行き届かなくなるのだ。いやまてよ、そうなると末端が壊死してしまうから、そうではないな。きっと末端まで流れる間に、冷却してしまうのだろう。困ったシステムである。
 だから僕の冬は、防寒対策をいかにうまく成功させ、寒さに打ち勝つかである。情けない話しだが、毛の靴下や毛のタイツ、手袋、靴用使い捨てカイロ、就寝用電気アンカは必携である。生死にかかわる。
 現在住まいする教師用寮には、エアコンがあるだけで、他の暖房装置はない。しかも、殺風景な部屋の天井は妙に高く、容易にはあたたまらない構造になっている。どこからか隙間風も入ってくる。
 どこからか……それはわかっている。いたるところ隙間だらけなのだ。窓はアルミサッシではない。したがって、窓やドアの隙間は、ヤモリやゴキブリが自由に行き来できるのだ。
 S市はまだしもあたたかい地方である。北のほうや内陸部は、すでにもう冬だ。しかし、きっちり寒くなるところは、逆に暖房設備がととのっているが、ここは……ない。
 日本のかぜ薬もたくさん持ってきた。こちらの薬は強いときく。シャキっと治るかもしれないが、癖にはなりたくない。中国薬じゃないと治らない身体になってしまって、帰国時に大量のかぜ薬をかかえて税関を通ることはしたくない。
 この地の夏にはずいぶん苦労した。冬もまた一筋縄ではいかないようだ。(×_×)
(photo:回転寿司は人気だ)