タイトルの話

 これでもけっこう悩んでいるのである。毎回のこの記事のタイトルに。
 絵画展や写真展などを見にいくと、ついつい気になってしまうのもタイトルである。ひねりがきいているタイトルをみつけると、思わずニヤリとさせられる。
 ところが、ときどき作品の説明になっているタイトルもみかける。たとえば、白鳥が飛び立つシーンに「飛翔」、父と息子の交流シーンに「親子」などはベタの典型であるが、タイトルが作品の一部としてあまり考慮されていないものも多い。
 しかし、ひねりすぎると作品からはなれるし、その加減がむずかしい。ムーンサルトのように、2分の1ひねりぐらいが適当だろうか(わけわからんね)。
 映画などは、タイトルの出来しだいでずいぶん興行成績に差がでるときく。ブラッド・ピット出世作に『リバー・ランズ・スルー・イット』(1992年)という映画があった。きれいな映像の、とてもいい映画だったが、タイトルには何の工夫もない。幸い映画はヒットしたが。一時期、この原題そのまま、というのが流行った。
 僕の好きなタイトルは、たとえば『恋する惑星』(1994年)である。王家衛のヒット作で、原題は『重慶森林』。香港に実在する「重慶マンション」を舞台に人間模様をえがいたドラマだが、原題もシャレている。
 本などはタイトルで売れる場合もある。というか、有名作家はべつとして、タイトルで売れ行きがきまるケースがほとんどだ。
 「なぜ?」などの疑問形を使ったり、最近ではひとつの文章がタイトルになっている本が多い。柳の下のドジョウ的な「◯◯の品格」や「◯◯の壁」なども、まだそれほど昔ではない。
 タイトルを考えて寝不足になった。ということはないが、記事をアップして、あとでしまったと思うことはある。しかし、今回は思いっきりベタなタイトルにしてみました。(^_^)
(photo:中山公園にて)