日々、是、為すがまま

 学生から、自分はどう見られているのだろうか、とときどき思う。ひとりっ子が多いはずだから、彼らの父親の方が断然若いだろう。
 とすると、彼らの祖父に近いかもしれない。まあそこまではいかなくとも、その中間あたりだろうか。いずれにしろ、イメージとしてはおそらくおじいちゃんの方だろう。
 彼らは、僕の息子の世代とだぶるので、娘や息子に見えてしまうが、「先生」という役柄を取り去るといったいどう呼ばれるのだろうか。
 じつは、こんなことを書くには伏線があった。
 昨日の日曜日、バスに乗った。混んでいたので、つり革にぶら下がろうとしていたら、座っていた若い女性がさっと立ち上がり、席を譲ってくれようとした。丁重にお断りしていると、人に押されたので移動してしまった。ほっとしたのもつかの間、また目の前の女性が席を立った。万事休すだ。今度は好意を受け入れた。しかし、どうにも複雑な気分ではあった。
 軽いショックから抜けきれず、バスを降りてからも足取りがフワフワしていた。目の前を救急車が通りすぎていった。先日、救急車を見ない町だと書いたばかりだったが、昨日は2度も出会った。それがどうしたって? いえ、べつに。
 寮に帰って、鏡にそっと自分の顔をうつしてみた。そこに現れたのは……ロバートデニーロ……のような滋味あふれる顔ではなく、くたびれた中年男そのものであった。
 最近の自分を振りかえってみる。
 階段の登りでつまずいて、前のめりにコケそうになった。学生といっしょに縄跳びの2周跳びをしたら、一回で動けなくなった。卓球をしていたら、ルーズ・ボールがなかなかつかめなかった。向こうからやってきたバイクや歩行者と、必ずお見合いしてしまう。何かをはじめるときに、気合いを入れるようになった。独り言がふえた。キリがないのでやめます。
 先日、僕の似顔絵が黒板にかいてあった。よく特徴をとらえているな、と妙に感心した。しかし、すぐさま我にかえり消去した。こういうくだらないことにも心血をそそぐ連中を褒めてやりたいが、褒めるもんか。
 以上。いまのところ、なすがままである。(v_v)
(photo:石笋公園にて。リンガと関係ありません)