今さらの学生、とほほ生活

 パラダイスかと思っていたら、それは幻想だった。180度立場を換えて学生になったのはいいが、学生とはこんなに忍耐を必要とするものなのか、と感じた。
 忍耐、というと不自然かもしれないが、僕にとっては忍耐に近い。
 その忍耐を数えあげてみる。まず、椅子に座って机に向かうこと。それらが快適な装置なら、文句も半減しようというものだが、まあごく一般的な学校用のものである。
 教室の僕の席は、窓に面していて日当たりがいい。冬場ならそれもありがたいところだが、残暑が厳しい上海の窓際ではクーラーの冷気も瞬時に暖められる。
 授業をおこなう教師は、それぞれ個性はあるが、ワリと単調である。失礼かもしれないが、あまり準備もなく、アドリブでできそうである。
 それは、労働条件が過酷なせいなのか、あるいは、中国語教授法としては一般的なのかはわからない。しかし、もう少し授業に緩急をつけてほしいナ、と思ふ。
 クラスが5人という少人数編成なので、ぼんやりして鼻毛を抜いているヒマはない。しかも男5人、黒一色である。女子がいないので、いらぬ気をつかわなくていいから楽であるが。まあ、老師は中国女子なので、華は皆無ということはない。
 そして何よりつまらないのは、学生という身分そのものである。
 何がつまらなくて忍耐なのかと考えてみる。おそらく、カリキュラムのペースは教師がにぎっている、というところだろう。
 同じように「直接法」で日本語をおしえてきた身としては、これこそ180度であった。いってしまえば、おしえる方が10倍おもしろい、ということに気がついたのである。
 とまれ、8週間がスタートしてまだ2日終わったところである。先は長い。どういう気持ちの変化が起こるのかはわからない。
 連れ合いや家族の理解があって得た、学生という身分。上海W大学の学生たちにまじってキャンパスを歩くのもいくぶん気恥ずかしいが、今や在住日本人が世界一多いこの上海で生活するのも悪くない。
 でも、泉州にくらべてと、100元紙幣のありがたみがかなり低いのには、とほほ、である。(-_^:)
(photo:上海の摩天楼?)