打算と誤算

 日本語を使って日本語をおしえる「直接法」の限界を感じて、これは少し中国語を身に付けたほうがよいナ、と思った。
 何も中国で勉強しなくても、と幾人の方々にもいわれた。中国がそんなに好きなの? などと皮肉っぽくいわれたこともある。
 それらの質問に答えると長くなるので、ここでは省略して次にいく。
 上海ではカネモーケが優先した、けっこういいかげんな語学学校も多いので、十分注意して学校をえらんだ。
 僕が行く予定のEスクールの開講は、5日である。なので、早めにこちらに来て上海で遊ぼうともくろんでいたのだが、そううまく計画通りにいかないところが、やはり中国だった。
 暑さと人にまいってしまったのだ。暑さは覚悟していたが、人の多さと人いきれ、いたるところパワフルな中国人は、疲れることがあるのだろうか、と思ってしまうほどだ。
 人々の声の大きさはここ上海でも同じであり、携帯電話や喫煙、ちょっと裏通りに入れば痰を吐く人もずいぶん見かける。
 僕は疲れてアゴを出して歩くが、若い娘たち(ときどきおばさんたちも)はシチビタ(金沢地方の方言)を出してさっそうと歩く。
 こんなことなら、ギリギリまで家の雑務をこなしてくるべきだった、といささか後悔したが遅かった。まあ、涼しいホテルで読書三昧も悪くはない。
 ところで、せっかく時間があるので、と思ってスクールで使うテキストを開いてみるが、根気がなく長つづきしない。前途多難である。
 講座は1クール8週間である。初級の全日制コースである。講師は中国語で中国語をおしえる。学生体験も、日本語教師として悪くはない。
 しかし、授業について行けるのだろうか? 先生は厳しいのだろうか? 宿題はあるのだろうか? たくさん当てられるのいやだな……心配は尽きない。学生の気持ちがわかる。(^_^;
(photo:有名な東方明珠タワー)