今時の若者像

 中国語学校のことも少し書いておかなければなるまい、と今日このごろは思う。
 じつは、学校は日本人を対象に特化している。したがって、学習者は全員日本人である。上海で働いている現役ビジネスマンから、その配偶者(主に奥様連中)、語学を身に付けキャリアアップをめざす女性、企業から研修のために派遣された若者、定年後を楽しむ年配者など、さまざまである。
 当然、学校側のウリは、スタッフが日本人(もしくは日本語が堪能な中国人)であるとか、日本人向けの教師をそろえているとか、生活面も安心であるとか、そのあたりをうまくアピールしている。
 開講時にも少し報告したが、クラスは少人数編成で、我が「初級クラス」は2クラスである。そのうち、僕たちのクラスは5人編成である。
 クラスメイトにT君という若者がいる。彼は今春大学を卒業した身であるが、企業から語学研修のために、同僚とともに4ヶ月間ここに派遣されている。
 さわやか系で均整のとれた体格、けっして体育会系ではなく、さらに今風にいえばイケメンの彼は、当然のように教師や学習者たちから圧倒的な人気をあつめている。
 それは、彼のもともとの性格に起因しているところだろうが、親の仕事の関係で高校時代にアメリカで生活した経験も大きいだろう。
 日本人ばなれした身のこなしは、何の躊躇や屈託もなく周囲や中国社会に溶け込んでいく。もちろん、英語は堪能である。
 授業は、会話の時間もたっぷりとられている。たとえば僕などは、中国語で会話するときには、どうしても一度日本語に翻訳してターン(応答)をする。つまり、聞いた中国語を日本語に訳し、日本語でまたターンを考えて中国語に訳す、という手間なことをやっている。
 かつて学んだ、文法重視の学校英語の悪しき弊害かと、人のせいにしたいところだが、これではなかなか会話が上達しないのである。頭のなかに日本語が出てこないように、スピードアップしないとダメである。
 おそらくT君はそうではない。まちがってもいいから、とにかく口から中国語が出てくる。彼の上達は約束されているといってもいい。
 今の、内向きな日本人の若者のなかにあって、彼のような若者は頼もしくうつる。先日は、ホーチミン市に住む僕の若い友人から、ベトナム女性と結婚するというメールをもらった。日本の若者も捨てたものではない。
 外国に留学する日本の若者が、最近極端に減少しているときく。けっして彼らだけのせいではないが、僕たちの若いころとちがって今の若者は、海外を視野に入れた生き方を考えないといけない時代になったのではないか、と思う。
 さて、僕は一週間早く昨日「初級クラス」を終えた。クラスメイトとはちがうメニュー(個人レッスン)を少し入れたからだ。まもなく帰国する。(^-^)/
(photo:朱家角にて)