料金所の怪

 中国へ渡るときに自分の車を処分した。ETCを付けていたので、高速道路の料金所ではずいぶん楽だった。
 先日、連れ合いの車で岐阜県の高山まで往復した。以前は、富山市で高速を降りてから国道41号線を南下しなければならず、そこからの山道にけっこう時間がかかった。でも今は高山まで高速がつながっていて、金沢からはのんびり走っても2時間かからず行ってしまう。
 連れ合いの車はETCがないので、料金所で一旦停止して通行料を払った。ところが、係員のおじさんに「おつかれさま」といわれた。以前は、べつの料金所で「ごくろうさま」といわれたこともある。
 「ごくろうさま」は、大辞泉によれば《他人に仕事を依頼したときなどに、その苦労をねぎらっていう語。同輩以下の者に対して用いる》とある。同様に「おつかれさま」は、目上に対して労をねぎらうあいさつであろう。
 高速道路の料金所でそんなことをいわれると、僕はいつも、あん? と思ってしまう。
 道路の利用者は「お客さん」であるから、係員からすれば上位の者である。したがって「おつかれさま」は、使用する場面はともかく、あいさつとしては許される範囲かもしれない。
 でも、たとえば、青森からかっとばして来たんだ、ハァハァ……という状況ならすんなり受け入れられるが、となりのインターからやって来て「おつかれさま」では、疲れてねえよ、と毒づきたくもなる。
 で、問題は「ごくろうさま」である。
 これはあきらかにおかしい。辞書による使用基準に照らし合わせてもおかしいし、高速道路を走って来たどんな人たちに対しても、このねぎらいのことばはおかしい。
 たとえば、仕事で高速道路を利用した人に対してだって、どんな仕事の人なのかわからないから、「ごくろうさま」といっていいのかどうかわからないではないか。とんでもない仕事の人だっているだろうし。
 遊びに行った帰りなどでは、ちょっと困る。でも、家族サービスで疲れたとうちゃんにはしっくりくるかもしれない。
 ところで、高速道路無料化の話しはどこへいったのだろうか。(-_^:)
(photo:晩秋の色)