中国とサッカー

 ちょっと前に、日本対北朝鮮のワールドカップサッカーの予選試合があった。日本は、アウェーの平壌での試合だった。
 すでに最終予選への切符を手にしている日本は、主力選手を欠いている布陣とはいえ、かなり格下の北朝鮮に敗れてしまった。まるでサンマの大群に迷い込んだイワシのような、日本からの応援団。圧倒的なアウェーの力に負けた。
 でも、外交的にはそれでよかった、と思っている。
 そんな北朝鮮を支えている中国もサッカー後進国。と、いったら叱られるかもしれない。でも、サッカーに興じている子どもたちや、サッカーボールとたわむれている少年を、見たことがなかった。
 それほど、中国ではサッカーはまだ発展途上だ。プロのリーグがあって、テレビでも試合中継しているが、シロウト目にもレベルは高くない。得点にからむのは、たいがい外国人選手である。
 世界で最も人気があり知名度もあるこの競技の体たらくを、中国はこのまま放置しておくはずがない。最近ようやく、強化に本腰を入れはじめた、ときいている。
 しかし、サッカーという “団体競技” に国民がなじむかどうか、という危惧もある。
 個人へのはっきりした評価を好む国民性は、チームワークやアンサンブルが重要視される団体競技を、これまでなかなか受け入れてこなかったように思う。
 サッカーは、たいがい一試合2〜3点を争う勝負である。得点シーンが少ないため、得点時は大きな盛り上がりとなり興奮を呼ぶ。しかし、サッカーのおもしろさは、ゴールを頂点とするその過程にある。
 そのおもしろさが理解できなければ、サッカーはなかなか点が入らないつまらないスポーツ、とされてしまう。
 囲碁や将棋は、今の中国でも親しまれている。日本の囲碁や将棋の原型は、中国から伝わったものだろう。どちらも勝負の過程を楽しむ競技であり、勝敗は結果である。
 そのことを思うと、中国でもサッカーが人気を博す土壌は十分ありそうである。
 もうひとつは、国をあげてのバックアップである。ワールドカップ出場を目標に、Jリーグを発足させて一気に盛り上がった日本のように、大きなしかけが必要だろう。
 しかし、あらゆる分野で日本より優位に立ってきている中国にあって、サッカーぐらいはそのままでいいよ、といいたいところだが。(-。-;)
(photo:猿山岬にて)