昨今の高貴なご家族

 温泉宿で、ぼんやりとテレビのワイドショーを見ていた。ちょうど、さる高貴なご家族のニュースが流れていた。
 長男の家系はずいぶん忙しいんだなぁ、とそのとき思ったが、僕も一応長男なんだなぁ、とすかさず思った。それで、思わず膝をたたきそうになったが、あの高貴な家族といっしょにしてもいけないナ、と思い直し彼らに少し同情した。
 イギリスの、さる王子が結婚したときも同情した。同情したのは、可愛らしい妃のほうにだが。たぶんすばらしい青年なんだろうが、どうも彼は父親似らしく、頭のうえのほうが黄昏状態だった。
 そのときは、思わず自分の頭に手をあてたが、西欧の由緒ある国の若き王子といっしょにしてもいけないナ、と思い直し自分の頭はあきらめた。
 ちょっと前、サウジアラビアの皇太子が亡くなった。名前は忘れたが、たしか80歳ぐらいだったはずだ。あそこは、国王の息子だけでも20人ぐらい、孫になると天文学的数字になるという。孫の数はウソだが、国王になるのもたいへんなようだ。
 しかし、80歳でなお皇太子、さぞ無念なことだったろう。でも、アラブ世界はちょっと事情がちがうから、そうでもないのかもしれない。
 ブータンのイケメン国王が結婚するという。あ、“イケメン”という名前じゃないんですよ。日本語の形容詞(もしくは名詞)ですからね。
 彼の国では4人まで妻を持つことができるらしい。ところが件の国王は、ひとりで十分だとおっしゃる。その心意気に拍手を送りたい。
 でも、そんなこと公言してもいいんでやすか、ダンナ。と、下世話なこともいいたくなるが、国民に絶大な人気を得ている彼のこと、下賤の者が心配することでもないか。
 さて、ワイドショーには我が高貴なご家族(ご一族)のネタは欠かせない。昔ほどではないが、自分たちのカリスマや象徴を望む、そういう気持ちがやはり脈々と受け継がれているのだろうか。(*_*)
(photo:高山市、城山にて)