クルーズへの入口
きっかけは新聞広告だった。陽春のとある平凡な朝、いつものように朝刊をながめていたら、とある旅行社のクルーズ旅募集が目にとまった。
いつかのんびり船旅などいいよなぁ、と常々思っていたが、飛行機旅のように格安チケットを手に入れてヒヒヒ、というわけにはいかないと思っていた。
ところが、である。その旅行社の案内には、「北海道周遊とサハリン8日間」が154,000円から、とあった。しかも、大阪から新千歳往復航空券セットや2、3の特典つきで。
えっ? そんなんで行けるの? しかもクルーズ船は、「サン・プリンセス」とある。ネットで調べてみると、豪華客船じゃないかい。
「サン・プリンセス」は、業界では中型客船に分類されているが、総トン数77,000t、全長261m、全幅32m、乗客定員2,022人、乗組員数900人、とかなりでかい。
クルーズ旅はいろいろ条件を考えると、僕はまだ時期尚早と思ってこれまでノーマークだったが、もしかしてクルーズ業界も激変が起こっているのかもしれない。
などと勝手に思い込み、逆上ぎみに大阪の取り扱い旅行社に電話した。電話の相手は、小気味よい大阪弁が耳に心地よい女性社員だった。
とりあえず詳しいパンフレットを送ってもらった。
わかったのは、このツアー商品は6月から9月にかけて何回もこのコースを周回することになっていて、料金の154,000円というのはやはり、最も集客が見込まれない時期の最低ランクの客室料金だった。
したがって、夏休み時期のツアーはそれなりに高い。しかも客室のランクがホテルのように何段階もあり、スイートなどはまるで縁遠い。
航空機なら窓側でも、上空に昇ってしまえば空しか見えないが、船となると外側と内側では開放感がまるでちがう。外側でも、窓だけの客室とバルコニー付きの客室では、これまたずいぶんとちがう。
パンフレットを取り寄せた時点で、すでに「客」として取り込まれていたのかもしれない。しかも担当女性の、親しみを感じさせるものの素っ気ない大阪弁が妙に可笑しくて心に残っていた。
まあそれで結局、「乗りかかった船」ということになったのである。もちろん、連れ合いはニヤリと笑った。(^^ゞ
(photo:上は室蘭港にて。下は釧路港にて)