北方領土遠望

さすがに釧路だった。寒い。20度もなかった。
しかし、地元の人は半袖姿。こんな日でも暑いらしい。
昨夜、釧路港を出た。夜のうちに北上して、今朝、択捉島国後島の間をぬけた。
今にも泣き出しそうな空の下、冷たい北の海上から見る島は天候のせいかモノトーンに沈み、遠目には人の気配が感じられない。
船は国後を巻くようにして知床半島に向かった。島とは指呼の間である。端正な姿の爺爺岳が、海岸から黒々と立ち上がっている。
北方領土ーー。日本の領土でありながら、今だ異国に支配されている。その島々を目のまえにしながら、この国の外交の拙さを思う。
ロシアの実効支配がつづけば、時間とともにやがて解決不能となる。何がなんでも無条件返還ではなく、もっと柔軟に交渉しなければ解決できない段階に来ている。
そんなことを思いながらぼんやり島影を眺めていると、まもなく船は知床半島に達し、夕方網走港に入った。(^.^)