サハリンへ(1)
クルーズの旅といっても、そのスタイルは様々である。
今回のツアーは北海道の港をまわって、その足でロシア・サハリンに寄る、というものだった。
毎日のように新しい港に立ち寄るので、一般的な陸地のパッケージツアーの「船版」といった趣きもある。
しかしそこは、船だ。港々におんながいる、というような昔の船乗りじゃあるまいし、下船して目いっぱい遊ぶ必要もない。ホテルでのんびり過ごすように、船内にとどまるのも手である。
函館、室蘭、釧路、網走の港へ点から点へと移動する旅だし、日帰りで観光地を回ったところで、北海道らしさはさほど感じられないのである。
やはりこのクルーズの目玉はサハリンだ、と思った。
6日目の夕方、サンプリンセスは網走を出航し北へ向かった。目指すはサハリン最南部、陸地がちょうど二本足のような形をした、その股のあたりに位置するコルサコフという港湾の町である。
早朝、船は港の沖合に停泊した。埠頭の水深の関係で、ここまでである。サンプリンセス装備のテンダーボートで上陸するのである。
船内で入国手続きを済ませ、小さなボートに乗り込んだ。やや波のある海を20分ぐらい揺られ接岸した。
殺風景な岸壁にはバスが待ち構えていた。それに乗るよう指示され、ほぼ定員どおり席が埋まるとすぐに出発した。
この現地ツアーは、小さな港湾都市コルサコフをすっとばして、サハリン州の州都ユジノサハリンスクを訪問するミニツアーなのである。
ひどく無愛想なロシア人運転手があやつるバスは、片道2車線のほとんど信号もない道路をかっとばす。
サハリン島は、島とはいえ北海道よりやや小さいぐらいの面積がある。荒涼とした原野も見られるが、思った以上に人が入っているようだ。
あまり代わり映えしない車窓からの風景を冬に置き換えて想像してみると、このバスが厳冬のシベリアに向かっているような気がしてきた。ーーおお怖。(;O;)
(photo:上から、コルサコフ上陸、ユジノサハリンスクの共同住宅、赤の広場のレーニン像)