クルーズ船という「町」

 今回の航路は、小樽を出航すると、函館、室蘭、釧路に寄港し、北方領土の択捉と国後の間を抜け、知床半島に沿って網走に入港。
 網走を出ると、ロシア・サハリンのコルサコフに立ち寄り小樽へ帰る、8日間のコースである。
 寄港地では、下船して観光、散策することは自由である。ツアーが用意されていたり、市内までのシャトルバスが手配されていたりと、何かと便宜がはかられている。
 もっとも、乗船客と乗組員を合わせれば、ひとつの「町」ぐらいの人口規模の人たちがやってくるわけだから、寄港地の自治体や商工会にとっては大きなチャンスである。
 担当スタッフが埠頭で待ちかまえていて、懇切丁寧にいろいろガイドしてくれる。ただし、コルサコフだけは寒い埠頭であった。こちらについては、後日あらためて書きたい。
 船内の話しにもどるーー。
 まず毎日の食事。3食は料金にふくまれているので、支払う必要はない(お酒は有料)。ルームサービスもOKである。
 レストランや軽食コーナー、バーはいくつもある。しかしディナーは、すべての客にレストランと着席テーブルが指定されている。
 そして、ドレスコードがある。通常は「スマートカジュアル」であり、男は襟付きシャツにジャケットまたはブレザー、女はワンピース、ブラウスとスカートまたはパンツ着用となっている。
 8日間のうち、今回は2回「フォーマル」の日が設定されていた。こちらは、スーツやドレス(または着物)着用なのである。
 まあ、なんと堅苦しい。と思うかもしれないが、これは欧米で発達した船上文化だからしかたがない。
 しかし、そうしないと夕食にありつけないわけではない。ちゃんと逃げ道が用意されているのである。
 ビュフェ形式の大きなレストランが朝から晩まで営業しているので、そっちで食べればいいのだ。つまり、ディナーの席は社交場なのである。
 同じテーブルを囲んで、たまたま同じ船に乗り合わせた人と食事と会話を楽しむ。まあ、日本人が苦手とするシチュエーションだが、せっかくならこれも楽しまない手はない。
 船内のアクティビティや航海のこと、あるいは寄港地の情報は、毎日発行される「船内新聞」で知ることができる。
 船にはフィットネスジムやプール、ジャグジー、ネットカフェ、図書館、ギャラリー、カジノ、ブティック、スパ、各種ショップ、メディカルセンターなどもあり、やはりさながらひとつの「町」である。(O_O)
(photo:上から、最上階デッキにて、ショップ街、厨房見学)