年末恒例行事の顛末

 12月30日は餅つきをすることになっている。
 今年も朝からはじめた。ぼくが小さいころは杵と臼を使って、ぺったんぺったんとやっていたが、いつのころからか餅つき機を使うようになった。
 餅をつくのは機械だが、前後の作業は手作業である。餅米をといだり、かまどを設えて蒸籠で米を蒸したり、つきたての餅を丸めたり伸ばしたりと、人海戦術である。
 庭に簡易なかまどを準備してそこで火を起こすわけだが、いつも天気が気になるところだ。雨だったり風が強かったりすると、納屋のひさしの下でやることもある。
 農家造りの納屋なので、ひさしといってもちょっとした作業ができるくらいのスペースがある。そこで火を焚くので危なくないとはいえないが、まあ大丈夫である。
 しかし今日び、火や煙を見ると逆上する人もいて、当局に通報されかねないので、そっちのほうが心配である。
 昨日は雪がパラつく程度だったので、外で火を焚くことができた。外でやれば作業は楽だし、火の心配もない。ただし、正義感にあふれた通報者が近くを通らないことを祈りながらだが……。
 火はまあいいんだが、今年は作業員に問題が発生していた。
 ついた餅を鏡餅の形にしたり、小さくちぎって丸餅にしたり、あんこを入れたりする職人ともいうべき、ぼくの叔母が病気で来られなくなったのである。それは、シロウトが何人いても穴埋めできない、大問題なのであった。
 しかし、じぶん家の餅が、叔母が手伝えないのでできない、というのもずいぶん情けない話しなので、家族をかき集めてなんとかやってみることにした。
 で、やればできるものだ。まあ、できは実習生の作品のようなもので見栄えは落ちるが、それはどうでもいい。
 できた作品を病床の “先生” に見せに行くと、叔母は目を見張って、それからニヤリとした。(^_^;