スラブ語圏往来

 能力の問題はあるが英語は、最悪、単語をならべればたいていわかってもらえる。
 ヨーロッパもそれでOKだろう、と思っていた。ところが、チェコスロバキアではまったく通じないことが多い。スラブ語圏だからだろうか。
 英語とスラブ語は語源がちがうので類推することもできない。たとえば、ビールは英語でBeer、チェコ語ではPivo、同じくパンはBreadとChleb。Chlebのeの上には、中国語の第3声調記号のようなものがつく。
 ヨーロッパはたくさんの小さな国に分かれているが、それぞれ母語を大切にしているのだろう。つまり、言語はまだら模様のように複雑に入り込んでいるのであろう。
 言葉がちがえば文化や宗教がちがう。そこがまたおもしろい。
 おもしろがる余裕があるうちはいいが、先日はプラハの街でトイレをさがした。街角のトイレはたいてい有料で、トイレの入口に係員がいて使用料を徴収される。日本円にして50〜100円だが、大か小かによって料金が変わるところもあるらしいから、そのときはいちいち申告するのだろうか。
 それはスロバキアでも同じだった。スロバキア城では係員が厳しくチェックしていた。あれはけっこういいビジネスかもしれないなぁ。
 スロバキアの首都、ブラティスラバの旧市街はあまり広くない。ツーリストも多くないのでいたってのんびりしている。時間がゆったり流れているような気さえする。
 しかし、ドナウの流れは意外に速く、水量も豊富だった。大型船が行き来するので大河の風格はあるが、どこかゆったりしたイメージを持っていたせいか、その流れを見ていると風雲急をつげるEU情勢がかさなって感じられた。
 ブラティスラバ市街を歩いていると、たくさんのツーリストグループに遭遇する。おそらくウィーンあたりからの日帰りツアー客だろう。
 白人系の団体は、ウィーンで募集されたグループだろうが、ときどき東洋系のグループも見かける。彼らはたぶん本国からのツアーだ。日本人グループともいくつかすれちがった。帽子着用率が高いのですぐそれとわかる。
 ウィーンを見てついでにブラティスラバへ、というパターンはよくありそうだが、ウィーンに接近してスルーする僕たちはちょっと変かもしれない。(-。-;)
(photo:上はブラティスラバ城。下は城からの市街とドナウ川