最近の留学生事情

 サラリーマンをして規則正しい生活をしていると、いやはやほんとうに日が経つのが早い。
 専門学校の日本語をおしえる学科は、まだ留学生も少ないので基本的には授業は午前のみだ。といって午後はヒマかというとそうではない。
 留学生にまつわるあれやこれやの仕事が待っている。入国手続きから始まって、住民登録、住まいの確保、住民登録、生活指導、携帯電話や自転車取得の相談、バイトの紹介、学費の説明等々、枚挙にいとまがない。
 留学生担当専任スタッフが確保できないので(お金がない)、常勤講師と事務職員とで担っている。
 なんでこんなことまでも、と思うこともしばしばで、とくにお金に関係することは先生と学生の間にいらぬ感情が入ってしまうので、できるだけタッチしないようにしている。
 しかしその分、事務の女性にしわ寄せがいくので気の毒に思うときもある。彼女も相当ストレスを溜めているようであるが、許してほしい。どこかぼくの見えないところで発散してほしい。
 留学生はアジア系がほとんどで、十分な資金を用意してやってくる学生は少ない。だから、バイトをしながら学費や生活費をまかなっていくケースがほぼ100%だ。
 ところが、そのバイトには総量規制があり(週28時間まで)、現実的には枠いっぱい働いても毎月自転車操業である。
 いわゆる「苦学生」ということになるが、日本語があまりできない初級レベルでは、できるバイトも限られるのでその分時給も安い。しかも実際は、留学生が日本人よりも不当な低賃金で処遇されている場合もあり、雇う側のモラルも問題である。
 結局、慣れぬ環境、異文化で学生も疲弊して体調を崩し勉強どころではなく、日々の生活に追われることにもなりかねない。
 おそらく「入口」で(募集のとき)、そのへんの事情をきちんと説明しなかった仲介機関や、学生獲得にあせる学校側の事情が優先された結果だろう。
 大学や専門学校が生き残りをかけてしのぎを削る、そういう道具にされる学生もたまったものじゃないが、日本の教育行政の責任は大きいと思う。
 まあそんなわけで、語学教育本来の仕事よりもそっちに振り回される場合が少なくない、というところが最近の悩みである。
 だいたい若者が相手なので、オッサンは体力勝負では勝てないし。(/_;)
(photo:信州荒砥城にて 2014秋)