IMFのミッション
Amazonのカスタマーレビューを見ると、星5つの評価が多い。懐かしさも手伝ってのことだろうが、ついつい僕もカートに入れて購入してしまった。
買ったのは『スパイ大作戦 シーズン2』のDVDセットだ。DVD7枚に21話収録。4,000円ぐらいで買えるとなると、お得感に負けてしまった。
なぜ「シーズン2」かというと、秘密諜報組織 IMF(Impossible Mission Force)のリーダーを、ここから僕が知っているピーター・グレイブスが演じているからである。
当時のテレビドラマだから、1話50分完結である。カスタマーレビューにも載っていたが、毎日1話つまつまと観るにはうってつけである。CMが入るところもしっかり工夫されている。
アメリカで制作されたのは1960年代なので、東西冷戦を背景にしたエピソードも多く、時代を感じさせておもしろい。登場する小道具も、今とちがってアナログ的でこちらも興味深い。
子どものころ、毎週テレビで放映されるのを楽しみにしていた。
しかしこのドラマは、とくに派手なアクションもなく淡々と進行して行くので、物語の背景やチームのミッションをよく理解しないと、子どもにとってはかなり難解なシロモノである。
だから当時は、え〜これで終わったの? というような、結局ストーリーについていけずにエンドクレジットになったこともしばしばあった。
まあ、高尚なドラマをオレは観たぞ、という満足感だけを得るために観ていたフシもある。
今あらためて観ると、つっこみどころは毎回たくさんあるが、よくできたドラマだと思う。
こういうドラマを170話も作ってしまうアメリカという国のすごさ、というか、恐ろしさもあらためて感じてしまう。
そうやって懐かしさにひたりながら、最近夜な夜な観ていたのである。最初は楽しく、おもしろかった。しかし、だんだんと違和感を感じるようになった。
IMFの彼らのミッションは、基本的には相手をだまし、おとしいれて目的を達成することにある。
そのためにはあらゆる手段を使う。お金もかける。大がかりな “どっきりカメラ” のようなものである。しかしそこは諜報工作の世界、どっきりではなくマジである。
で、違和感の正体だが、まんまとダマされる相手(敵)がまさしく悪者かというと、そうでもないというところが、しだいに気持ちの端っこにザラッとひっかかるようになったのである。
つまり、悪者ではなく、そのときのアメリカの利益に反する(あるいは妨害する)勢力や人間がターゲットになっているのである。
たとえばトム・クルーズの映画版『ミッション・インポッシブル』シリーズに登場する「敵」は、アメリカの敵であっても核兵器の狂信者であったりテロ組織であったりと、万人の敵ともなりうる設定がなされている。
だからどうだという話しではないが、子どものころの楽しい思い出を再現してみると、そこにあったのはじつは苦い現実だった、ということである。(;O;)
(photo:能登、見付け島)