夏風邪の奇襲

 悪夢である。いや、じっさい悪い夢を見たわけではない。風邪で寝込んでしまったのだ。
 一昨日の朝、異様にくしゃみを連発し少し熱っぽくかったので、風邪ぐすりを飲んだ。ところがくすりの効果などあざ笑うかのように、午後になって身体の節々がだるくなってきた。
 これはいかんと思って、その日は山小屋の夜のように8時前に寝てしまった。とはいえ、頭痛と発熱に悩まされなかなか寝付かれなかった。
 さらには、夜中に小便に起きると、自分の気持ちに反してなかなか尿が出なくなっていた。トシとともに勢いが弱まってきているとはいえ、この急変には異変を感じた。
 若いころは消防訓練の水圧ぐらいあったものが、その夜は蛇口からの水漏れのような状態だった。熱よりそっちが心配になった。
 体調が悪いときの思考というのは、ついつい悲観的に考えてしまうものである。こんなときに医学書など開けば火に油を注ぐことになるので、原因究明はやめにした。
 とにかく節々がボヨヨ〜ンとして熱っぽいので、季節外れのインフルエンザを疑い、医者に行くことにした。
 近ごろ評判となっている、近所のNクリニックへ初めて行った。平日の午後でも待合いは患者であふれていた。先生がイケメン、という理由だけでもなさそうだ。
 結果は、インフルではなかった。ほっとしたが、症状が改善したわけではない。小便問題は、前立腺に熱がついたから尿の出が悪くなったらしい。
 この季節の「風邪」はつらいものだ。とりあえず身体を休めて寝るしかない。
 子どものころは風邪で学校を休むと、自分だけ取り残されるような気持ちとは裏腹に、特別な休日を得たようなうれしさもあった。
 でもやはり、休んでみれば元気で学校へ通うほうがよほどよかった。
 大人になればそんな感覚も変わってしまったが、体調を崩すと健康のありがたみがわかるのは、子どものころと変わらない。
 同様に、戦争ができるようになって平和のありがたみがわかる、というような世の中も願い下げである。(;O;)
(photo:夏山の季節。唐松から五竜の稜線にて。2014年)