国益は近所付き合いから

 近所のアパートに、中国人の企業実習生たちが住んでいる。彼らはファミリータイプの1部屋(世帯)に、複数人で生活している。
 事情を知らない日本人は、彼らが部屋代を多少なりとも浮かすためにあえて同居している、と思っているようだ。
 もちろん、安い賃金で個室を借りる余裕もないという事情もあるだろうが(それも問題だが)、たいていの場合は、彼らを企業へ派遣するブローカー(何々共同組合という名前が多い)が経費削減のためにそういう非人間的なことをやっているのである。
 だから何も、実習生たちが好きこのんでルームシェアしているわけではない。
 しかし今日は、こういうややこしい問題はちょっと置いておく。
 その近所の彼らだが、見た目はいつも、じつに意気軒昂なのである。中国人はもともと寄宿生活に慣れているせいか、日常生活に屈託がないのである。
 声が大きい(もちろん相対的にだが)彼らは、窓を開け放している場合、室内で話す声がずいぶん遠くまで聞こえる。
 電話をするときは、外に出て大声で話す。夜中でもかまわない。2列チャリで、叫ぶように話しながら疾走する。ときには歌いながら走る。どこまでもチャリで行く。
 いや、何も彼らを非難しているわけではない。感心しているのである。
 異国に身を置きながら動ぜず、我がやり方を通す。そのメンタリティには感嘆する。しかも、外交的にぎくしゃくしている国で、だ。
 そういうの、日本人も少し見習ったほうがよさそうである。「郷に入っては郷に従え」といわれるが、許容される範囲内なら多少はみ出してもいいのではないか。
 まあ、1ミリたりとも許容できない向きもあるだろう。しかし、衰退老人国へまっしぐらの我が国としては、どのみち若い外国人を受け入れないと消滅する。
 そういう訓練だと思って積極的に彼らと交流したほうが、結局国益に叶うのではないかしらねぇ。(^_^;
(photo:シンプルなネパール料理。実習生宅にて)