「選挙」というシステム

 いささか旧聞になってしまったが、先の統一地方選挙にはいろいろ考えさせられた。
 何より投票率の低さである。最近のあちこちの選挙の傾向をみても、おおむね投票率は右肩下がりである。投票に行かない、という選択はどうしてだろうか。
 誰に入れても世の中変わらないから行かない、というのは街頭インタビューなどでよく聞くフレーズなのだが、はたしてそういう理由なのだろうか。
 ほんとうに、そんなことを思っている人ばかりなのか疑問である。じつはそうではなく、関心がないのではないかと思っている。
 政治と生活がつながっていないのだ、と思う。政治とは自分たちと関係がない世界のことであって、今日のつづきの明日がまたやってくると、漠然と思っている。
 もちろん、急に世の中が変わるということは今の日本では考えにくいが、毎年暑くなっていく夏に慣れるのと同じである。
 もうひとつは、「選挙」というシステムである。いや、というより、選挙と日常とのあまりの乖離である。
 つまり、リアリティがないのである。候補者が、選挙のときだけ近づいてきても困るのだ。当選してしまうと、別世界の住人化してしまうからだ。
 そして、候補者の問題。魅力のある、志の高い人物がいかにも少ない。議員になること自体が目的の連中があまりにも多い。
 民主主義が機能してある程度世の中が成熟してくると、政治には無関心になるのは先進諸国共通の問題だが、裏を返せばすべて国民の民度の問題なのだ。
 じつは先日の投票日、僕は投票場の立会人をやった。やってくる有権者の投票行動の一部始終をチェックする役目である。
 といっても座って見ているだけだが、それが早朝から夜までとくれば、ほとんど拷問に近い。
 しかし、やってくるのはやはり年配者がほとんどだった。(-_-;)