東京まで2時間28分だって

 招待状を見てしばらく迷った。およそ「式典」というものが好きではないし、そもそも退屈である。
 それでも「出席」に丸をつけて返信はがきを出した。
 一生に一度あるかないかのイベント。タイミングよく町内会長だったことも僥倖だろう、と前向きに考えたのだ。
 今日は、北陸新幹線が金沢まで開業した記念すべき日。マスコミも地元も、浮かれて舞い上がっているのである。
 金沢駅は、さながら東京の山手線駅をほうふつとさせるような混雑ぶりで、やはり新幹線が人気なのか異様な熱気で息苦しかった。
 その開業を記念する式典が、駅近くのさる高名なホテルで挙行されたのである。
 主催者、出席者側とも、ほとんどダークなスーツに身を包んだオッサンが会場を埋め尽くし、こちらの方はぬるっとした熱気が充満していた。
 それにしても、国会議員の先生方のあいさつには閉口した。意味もないことを平気で長々と喋べる、彼らの能力にはある意味驚嘆する。あれもひとつの才能なのだろうか。
 県関係の先生方(もちろん政権与党だけね)が序列に従い順番に述べるのだが、「一言申し上げる」の「一言」がけっしてそうではないところがさすがだ。
 その間中立ちんぼの我々一般出席者にとっては、ほとんど拷問に近い時間帯だ。
 新幹線開業によって直接的な恩恵を期待できる人たちにとって、今日は祝祭の日だろう。そうでなくとも、経済効果が波及し人的な交流も活発になることを誰しもが願う。
 しかし、JRから切り離された「日常の足」の今後や、首都圏へのさらなる一極集中が進む懸念は消えない。
 とにかく、新幹線と平行する北陸本線は、在来線特急廃止、部分的経営切り離しでズタズタになってしまった。今後が心配である。(-。-;)
(photo:金沢駅にて)