忠告に来た女

 あのがっしりした体格のせいでもなかろうが、アンゲラ・メルケルの堂々とした佇まいにくらべると、我がアベシンゾーの薄っぺらさはいかにも見劣りがする。
 さすが彼女は、「EU」の一筋縄でいかない国々を引っ張るリーダーである。
 へたをすれば内政干渉にもとられかねない、忠告ともいうべきコメントを出して帰っていくあたりもさすがである。
 彼女は、「過去をちゃんと精算しなさい」という。
 アベ氏にとっては耳の痛い言説であろう。精算どころか美化してやまないアベシンゾーの路線は、ドイツとは180度異なる。
 地球の果て、アマゾンの奥地までナチの残党を追った、ドイツの改心にくらべれば足もとにもおよばない。まあ、冷徹にとことんやる、あれもまたドイツらしいがーー。
 アンゲラは、「ガキじゃあるまいし、となり近所(中国や韓国)とうまくやりなさい」といっているのだろう。日本の右傾化を牽制しているのは確かだ。
 そして彼女は、「原発はいいかげんにしろ」という。
 アンゲラでなくともわかる。地震列島の日本の原発が、世界にとってどれだけ脅威かーー。
 ひとたび大きな事故が起きれば、地球規模で被害が出る。遠くはなれたヨーロッパだって他人ごとではない。
 そんな危ない原発を50基あまりかかえ、再稼働どころか、国内に新設、海外にトップセールスに出かける我が首相の姿は狂気の沙汰に映るだろう。
 外圧に弱いこの国の政府は、ヨーロッパからはるばるやって来た女性リーダーのことばに耳をかたむけたかどうか。
 どうも我が国のトップをはじめ取り巻き連中の、狂気を宿したようなうつろな目を見ていると、アンゲラでなくとも心配になる。
 やはりどうもアベシンゾー政権は、世界からは「カルト」とみなされているようである。(;O;)