ある凡人の行動

 とある研修会に出席するため東京へ行った。
 東京へは、小松からの往復航空券とホテルがセットになった商品がたくさん出ているので、ずいぶんお得な値段で往復できる。電車のとくとく切符を買って、個別にホテルを予約するより安い。
 もちろん出発する日にちにもよるが、北陸新幹線が開業すると空と陸の競争がさらにヒートアップしそうである。
 利用者にとってはありがたいが、消耗戦になって結局あとでツケがまわってくるのは困るのだがーー。
 さて、東京へ行くと東京でしかできないことがたくさんある。さすが一極集中である。いつもくやしく思うのだが、僕のチカラではどうすることもできない。
 「さすが東京」のひとつに、凡人社の存在がある。「凡人社」って、ふつうの人は知らないだろうね。
 人を食ったような牧歌的な名前だが、じつは、出版社である。
 日本語関係の本を専門に扱っている出版社だが、直売店舗も持っていて、そこには自社の出版物だけではなく日本語関係の他社のものもほぼ完璧にそろえている。
 日本語教師にとって聖地のような、あるいは、知の砦のようなところである。
 まあしかし今日びは、アマゾンでもけっこう買えるのだけれど、この手の本はこと細かにジャンルが分かれているので、自分がもとめている内容かどうか中身を確かめないと購入できない。
 だから、どうしてもリアル書店なのである。
 そんな事情のせいか、凡人社に立ち寄る人々の滞在時間はけっこう長い。
 凡人社は麹町にあって、地下鉄半蔵門線が便利だ。たまにしか行かないので、地下鉄の出口をまちがえるとすぐに迷ってしまう。
 数年前までは通り沿いに店舗があったが、現在はビジネスビルの中に入ってしまったのでわかりにくい。一般の人がふらりと入るような書店ではないので、それでいいのかもしれないがーー。
 東京ではいつも迷ってムダに消耗し、とりわけ凡人社へは用事が終わったあとに寄るから、たどり着くころはすでに疲労困ばい状態である。
 先日もそういう体たらくだったので、いろいろ本を物色していると意識が遠くなりかけてきた。
 本を買うという行為はうれしいものだが、凡人社ではついつい何冊も買い込んでしまう。そして、すぐさま後悔することになるのである。買う瞬間は、本の重量をさほど考えないからだ。
 今回は、優先度が高い比較的薄い本を1冊だけ買った。(^_^)
(photo:北陸新幹線W7系の勇姿。金沢駅にて)