『相棒』にひとくさり

 ニュース以外あまりテレビは見ないけれど、家人の影響でドラマ『相棒』(テレビ朝日系)だけは見ている。
 初めて見たのは、水谷豊の “相棒” が2代目及川光博のころなので、ドラマ自体が長寿シリーズということからすれば、視聴歴としては浅いかもしれない。
 視聴率がおとろえないのは、脚本がよく練られていることや、丁寧な演出が基本にあるからだろう。
 またそこに、その時代の社会問題や政治経済問題が、タイムリーに織り込まれているところも高視聴率の要因だろう。
 このドラマは脇のキャラ設定もうまく、とくに六角精児や川原和久などは、ハマリ役といっていいくらい存在感があって展開に厚みをあたえている。
 もちろん水谷が演じる、特命係の「杉下右京」というキャラクターが中心の構成だが、どうもここへきて少し行き詰まり感があるようだ。
 現在の “相棒” は3代目の成宮寛貴。確か3シーズン目である。“相棒” としては水谷よりずいぶん若い。コンビとしては悪くはなくおもしろいが、ここ最近の挿話はずいぶん無理が感じられる。
 何も成宮のせいではなく、どうもこれは脚本の貧困だろう。貧困といっては失礼かもしれないが、そんなことあるわけないだろ〜、と思うような設定や展開が目につくのである。
 ネタ切れ感がなきにしもあらずである。
 昨年封切られた劇場版『相棒3』にしても、大仕掛けで大味な内容だった。状況設定は荒唐無稽だったかもしれないが、ちょうど集団的自衛権の問題がクローズアップされていた時期でもあり、ネタのタイミングとしては悪くなかったのだがーー。
 結果的に興行収入は約20億円と、劇場版『相棒1』44億円の半分以下に終わってしまった。
 マンネリぎみとはいえテレビのほうは、あいかわらず高視聴率をたたき出している。しかし、他の番組と比較しての数字であり、全盛期の勢いはない。
 『相棒』というドル箱ブランドを続けるのなら、思い切って主役を交代させる水戸黄門方式でいくのも手である。
 守るのであれば、渥美清の寅さんのように、カリスマ主人公のままここらで終えるのが正しい選択だろう。(^-^)
(photo:ブータンティンプーにて。男同士)