流行遅れの冬
異常気象や〜。こんなに早く雪が積もるなんてはじめてや〜。……などと、近くの年寄りが、なかばボケたようにいう。
ほんとかよ〜。何十年生きとるんや〜。と、思わず突っ込みたくなる。
12月に雪が降って積もった、ということはざらはある。一度や二度ではない。だから、異常気象でもなんでもないのだ。12月はマジ冬である。
セーターを取り出して着る。セーターも古くなると保温能力が低下する。しかしまだ着られるので捨てられない。だから今冬も着用する。
ちまたに出てみると、自分が着ているセーターがひどく流行遅れだ、ということに気づく。
流行など気にしなければ心の平穏は保たれる。そうありたいと思っている。しかし、ときどき落ち着かない。
誰もあんたのことなんか注目していない、と家人はいう。それはひどいと思うが、まあ現実はくたびれたオッサンなど路傍の石程度である。
同年代を観察してみる。たしかに、我が道を行く連中がほとんどだ。達観しているのか、と思うようなご同輩も少なくない。
してみると、流行というやつは波紋のようにひろがって、やがて消えていくような感じだろうか。過去の流行から今の流行まで、ごちゃごちゃと存在しているのである。
そう思うと、また気持ちが落ち着くのだがーー。
近くの年寄りは、寒くなると十二単のように重ね着し着ぶくれしている。それもかつての流行だったのだろうか。
冬といえば、インフルエンザの流行はかんべんしてほしい。
ついでにいえば、原発も秘密保護法も集団的自衛権も流行遅れである。もちろん、旗振るあの男がいちばん流行遅れである。(¨;)
(photo:越後湯沢にて)