日本の壁

 中国ビジネスでは、即断即決が重要らしい。社に持ち帰って上司の指示をあおいでいては、せっかくのビジネスチャンスをフイにする。
 チームワークで仕事する日本企業の、中国での逸話としてよく聞く話しである。
 太平洋戦争では、アメリカは日本軍と日本兵の研究をとことんやった。
 たとえば、アメリカ陸軍軍事情報部が毎月発行していた戦訓広報誌『Inteligence Bulletin(情報広報)』によれば、日本軍は集団の力が効果的にはたらくときは強いが、ひとたび結束が乱れたり、バラバラになったときはきわめて弱い、という報告が数多くみられる。
 昨日、日本はギリシャに勝てなかった。ーーワールドカップ・サッカーの話しである。
 選手が一人退場した相手チームにたいして、日本は有利なはずだった。しかし、日本は圧倒的に試合を支配していたにもかかわらず、ゴールを奪えず引き分けにされてしまった。
 得点のチャンスはたびたびあった。そのたびにサポーターは失望し、ストレスを溜め込んでいった。そして、そのストレスが解放されることなく試合は終了した。
 攻撃的なパス・サッカーを標榜していた我が日本代表は、やはりチームの総合力が最大限に引き出されたときに思わぬ強さを発揮する。
 これまで、格上のチーム相手に勝利したり善戦したりしたときが、そういうケースである(それが僥倖だったとすればちょっとさびしいが……)。
 ところが、一旦このコンビネーションやバランスが乱れると、おそろしく脆いのである。
 国民性というのは、長い歴史や文化、風土が民族の遺伝子に反映したものではないか、と思われる。だからサッカーの代表チームも、まぎれもなく日本人なのである。
 殻を破るのはなかなかむずかしい。というか、そういう社会なら、自分だけの力では限界があるのである。
 グループリーグ最後のコロンビア戦ぐらい、歯車がかみ合った強い日本チームを見たいものである。
 とはいえ、個の力で組織を乱す南米のチームは、日本の苦手とするところである。文字通り、捨て身になれるかどうかだろう。(^_^;
(photo:タニウツギ。福井、部子山にて)