『アナ雪』恐るべし
蝶や花の映画しか観ない、とうそぶく。だから、リアルで生々しいシーンには顔をそむけ(僕も苦手だが)、マッチョな主人公が世界を救うアメリカ映画をバカにしている。
インディ・ジョーンズは「汚い」らしく、ミッション・インポッシブルは「ちょ〜疲れる」という。そのくせ楽しんでいるフシもある。
そんな連れ合いに付き合って、『アナと雪の女王』(ディズニー/2013年)を観に行った。
じつは、あまり乗り気じゃなかった。あんなのは、おんな子どもが観るもんだろう。……などといえば問題発言になる。もちろんそんなことは思っていない。たんに趣味の問題。
で、正直に感想をいえば、「とてもよかった」である。なんだかくやしいが、見事にはめられたような気分だ。
CGの進化もさることながら、ミュージカル仕立てのその楽曲のよさに感心した。物語はいたって単純なのであまり筋に気をとられなくてもよく、その分振り付けやCG表現、画面構成を楽しむことができたからだろう。
とくに日本語吹き替えのエルザ役、松たか子の歌唱力にはおどろいてしまった。本家メディナ・メンゼルにもひけをとらない。いやむしろこちらのほうが……といえば贔屓になってしまうのかもしれないが。
たまにはこの手の映画もいいか、と思っていたら、空前の大ヒットだという。僕たちが映画館へ行ったのはGW前。平日だったのでワリとすいていた。
連休に入って『相棒3』(和泉聖治監督/2014年)を観に行った。シネコン内が異様に混んでいたので、てっきり「相棒」人気だとばかり思っていた。
ところがその人出は『アナ雪』だった。満員御礼。封切りされてまもなく二ヶ月、配給は笑いが止まらない。ブームになると恐ろしい。とくにメダカ社会日本では。
ワリを食った『相棒3』はガラガラだった。たしかに負けるわ。
社会性の高いテーマと娯楽性がウリのこのシリーズも、そろそろ曲がり角か……。(*_*)
(photo:憲法9条せんべい)