サンドラ・ブロックである

 サンドラ、久しぶりだなぁ。ずいぶん見ないうちに、こりゃまたずいぶん貫禄が出てきたねぇ。……でもやっぱり、サンドラはサンドラかなぁ。
 サンドラ・ブロックーー。そう気安く声をかけてもしかられないような雰囲気を持っているアメリカの俳優(女優)である。もちろんそれは僕のイメージではあるが……。
 付け加えておけば、3.11の後、いち早く個人で100万ドルもの救援資金を提供してくれたのも、彼女である。
 はじめてスクリーンで見たのは、確か『スピード』(1994年)だったかな。主役のキアヌ・リーブスよりカッコよかった。あれは、彼女の出世作である。
 その後は、『あなたが寝てる間に』(1995年)とか、ときどきいくつかの作品で見かけたけれど、追っかけていたわけじゃないから、ほんと久しぶりだ。
 で、『ゼロ・グラビティ』(2013年/アルフォンソ・キュアロン監督)である。
 アメリカという国家自体は嫌いだけれど、こういう映画をさらりと見せられると、くやしいかなアメリカの底力のようなものを感じてしまう。
 物語は、宇宙空間にひとり取り残されてしまった医療技師(サンドラ)が、生と死の間を葛藤しながら、小さな針の穴に糸を通すような可能性をたぐり寄せて地球に帰還する話しである。
 登場人物は、上司の宇宙飛行士であるジョージ・クルーニーとの、ほぼふたりである。
 しかし、全編これ見せ場というか、ジェットコースターなのである。実際自分がその場にいるような錯覚をおぼえたり、主人公(サンドラ)と同じように酸素不足を感じ、息が荒くなっていた自分にあとで苦笑した。
 これほどまでに同化するのはまれである。SFだが、時代設定が現代に近いからだろうか。そして、画面に描かれている宇宙空間が、ほとんどリアルに近いからだろうか。
 いったいどうやって撮影したのだろうか。
 かつて、『2001年宇宙の旅』(1968年/スタンリー・キューブリック監督)には驚嘆したが、宇宙空間を表現する技術は長足の進歩をとげたようである。
 この『ゼロ・グラビティ』のストーリーは、事故の発端となったのがロシアの人工衛星爆破であったりと、いくぶんご都合主義的なところもあるが、根幹はサンドラの再生の物語である。
 じつはこの作品、3D上映がウリである。しかし、ゆるゆるのジェットコースターでも酔ってしまう僕にはとてもムリである。宇宙には絶対行けない。行かないけれど。で、2Dにした。
 近ごろでは出色のアメリカ映画だった。まあ、サンドラのお手柄。(・0・)
(photo:我が庭の椋鳥軍団)