ポイントの呪縛

 せちがらい世の中になってきたものだ。アベちゃんの毒矢で物価は上がり、消費税も上がる。しかし給料は上がらないし、セーフティネットはますます穴だらけとなる。
 ささやかな生活防衛のために、「ポイント」を効率よく溜める人たちも多いと聞く。近ごろはどこで買い物をしても、ポイントポイントである。
 あちこちの店舗で、ポイントカードをお持ちですか? と聞かれる。今やその手のサービスをしていない業者のほうが少数派かもしれない。
 ときどき、レジで支払いをしている自分の前の人の財布をチラリとのぞくと、いろんなカードがコレクションのように詰まっているのが見える。それだけで財布がパンパンになっている。
 ポイントカードが見あたらなくて、財布のなかを探しまくる人も少なくない。支払い額の小銭をそろえようと、財布の隅々まで点検してかき集める人もよく見かける。レジ待ちの行列が長くてもおかまいなしである。だいたい、おばさんやおばあさんに多い。
 僕も、よく利用する店のカードは気にかけてポイントを貯めるようにしているが、ドラッグストアやスーパーなどは頻繁にポイント3倍とか5倍というセールをやっていて、家人から、今日はやめて明日にしろ、などとときどきいわれる。
 ちまたのポイントシステムは、一定量貯まらないと現金化(または商品券化)できないタイプも多く、しかも期限付きだったりして、ゴールまでいくことはまれである。
 ある服飾チェーン店などは、1年の期限内に数万円分の服を買わないと還元されないようになっている。僕などはとうてい無理なので、カードはいらないと伝えるが、勝手につくって持たされる。
 映画館はよく行くのでカードを持っているが、あれはなかなかお得である。映画館はシネコンになって久しく、館内もきれいになって席もゆったりと、ストレスなく映画を楽しめるようになったのはありがたい。
 しかし一方で、あまりにシステム化され、客が管理されているようでいい気はしない。飲食物の持ち込みも衛生上どうとかいう理由で禁止しているが、シネコン売店の高くてマズい物は買いたくない。僕はたいていこっそりと持ち込むのである。
 話しがそれたーー。しかし、同業他社に追随せずポイントとは無縁の営業をしているところもあり、そういう店で買い物をすると、今日びなんだかすっきりと清々しい気分になるのである。(^^ゞ
(photo:自転車散歩の途中にて)