アメリカの罠

 「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。」というキャッチフレーズを、昨年12月の衆議院選で掲げた政党がある。
 ほかならぬJ民党である。一瞬、目と耳をうたがいますね。目は点になり、耳鳴りがしてきます。
 「ウソつく。TPP大賛成。ブレブレ」、というのが正解である。もちょっと前は、消費税率も上げないといっていた。
 1年も経ってないんですよ。連中の精神構造をうたがいますね。
 TPP交渉が大詰めにきているという。しかし、何を取り決めていて、その結果日本や僕たちの暮らしがどうなるのか、どうもはっきり報道されない。TPPっていったい何なのか、じつはよくわからない。
 はっきりしない、わからない、ということは、「あまりはっきりさせたくないし、わかってもらいたくない」ということなのだろう。
 TPPというのは、日本から甘い蜜を吸い上げることを目的とした、用意周到に計画されたアメリカの罠である(らしい)。日本をおとしいれるための、大仕掛けな装置なのである(らしい)。
 あるネガティブな予測では、農業はアメリカの穀物メジャーに牛耳られ、小売りには巨大スーパーチェーンが入り込む。もちろんそこには遺伝子組換え食品があふれかえるので、食の安全は消滅する。
 日本農業は崩壊するが、これは農家の問題というより消費者の問題である。生きるための糧をほとんど外国にゆだねて、背筋が寒くならないか。
 余談だが、ヨーロッパ諸国は天然ガスを、ロシアからパイプラインを引いて買っている。ところがしばしば政略的に元栓を閉められる。
 日本だってオイルショックを経験したし、そうでなくても常に石油問題には神経を尖らせている。……そういうことの食料版である。ゾッとする。
 TPPによる影響は多岐に渡るが、もうひとつあげると、国民皆保険制度の問題がある。
 これも骨抜きにされる、といわれている。制度自体はなくなることはないと思うが、受ける医療に格差ができる、と予測される。
 最高の医療を受けるためには、民間の健康保険に加入しなくてはならなくなり、そのためには高額の掛け金が必要となる。つまり、金持ちだけが最先端医療の恩恵を受けられるのである。
 まあしかし、アメリカが暗躍して人々が幸せになった、ということをこれまできいたことがないので、やはりポジティブな予測はムリである。
 そして利益を得るのは、大企業や富裕層である。
 ここで注意して考えなくてはならないことは、国境という概念である。彼らに国境という線引きはない。儲かるところなら地球上どこでもいいのである。
 彼らにとっての線引きは支配と被支配、あるいは貧困層との区別だけだろう。(`_´)