世界遺産を警戒する

 富士山が世界遺産ねぇ〜。喜んでいる人たちに水を差すつもりはないけれど、僕はへそ曲がりだから、世界遺産っていったいなんだろうって、つい思ってしまう。
 なんだか人類は、くだらないことをしているような気がするのである。このままでは、たとえばチェルノブイリ原発福島第一原発世界遺産になるまでつづくのではないか。もちろんネガティブなブラックジョークだけどね。
 観光産業がうごめいていて、あちこちで綱引きしていて、結局は経済効果、つまりお金の話しで動いているような感じだ。誰も世界全体のことは考えず、おのおのの利益最優先で、ユネスコがその胴元となっているようなものだろう。
 僕などは、世界遺産が公正明大に決められているとは思えないので、ことさらハンティングする気はない。人が集中するから、むしろ余計なことをしてくれる、とさえ思う。余計にお金がかかったり時間がかかったり、まあだいたいろくなことがない。
 人が決めてしまったものに乗っかるのは楽だが、それではつまらなくないだろうか。だいたい動機がおかしくなって、世界遺産だから行く(あるいは見る)、という入りかたでは、結局観光地で証拠写真を撮っておしまい、というパターンと同じではないか。
 なんだがそれでは、思考停止していて自分で考えるのはめんどうだから、したがって投票に行かない、という「おまかせ民主主義」とも同じではないだろうか(ちょっと強引か……)。
 さて、近年は「山ブーム」である。老若男女が新規に山に入りこんでいるようだが、それはそれでけっこうなことである。
 しかし、山ブームの陰で、いや「陰」ではなく堂々と、ずいぶん以前から「百名山ブーム」というものがある。深田久弥が選定した100山をハンティングするものである。
 それが完全にブランド化してしまって、「百名山」に登山者が集中している。対象が「自然」だから当然山は荒廃するわけである。どうせなら自分の百名山を選んだほうが、100倍楽しいと思うけど。
 僕はもちろん、自分が興味のある深田百名山もあるし、世界遺産だってある。しかし行きたいと思っても、悲しいかな、どこか警戒してしまうのである。(;O;)
(photo:アンコールワット(2007年)。もちろん世界遺産