「廃墟」に行く

 ことさら「城マニア」ではないが、城には少し惹かれるものがある。
 でもじつは、あの天下の姫路城にはあまり魅力を感じなかった。このあたりでいえば金沢城だって、現代的な観光地になってしまったのでつまらない。
 たしかに現存する古城には、歴史の重みやいにしえを感じさせる味わい深さがあっておもしろい。しかし、もう一度行ってみたい、と思うような城はほとんどない。
 どうしてだろうか。城の知識がなくて楽しみ方を知らないからか。あるいは、城の見せ方の問題なのか。
 どちらも当たっているように思うが、よくよく考えてみると僕の場合は、「廃墟」に惹かれているような気がする。
 廃墟ときくと、ふつうは薄気味悪いイメージだろう。オレは血湧き肉躍るぜ……などといえば、ちょっと引くわ〜、といわれ廃墟より薄気味悪いと思われかねない。
 でまあ、マニアックな趣味と思われても困るが、廃墟といっても荒れ放題だったり危険だったりするところは守備範囲外である。
 ようするに、最小限であってもちゃんと管理がされていて、よけいなことをしていない「廃墟」がいいのである。
 それで城の話しにもどると、廃墟としての第一級品は「竹田城」である。ロケーション抜群、山城の白眉である。
 全国的には、山城の跡はたくさんある。放置されているものもあるし、きっちり整備されているものもある。
 というわけで、じつは岩村城のことを書こうと思っていたのだが、前振りが長くなってしまった。次回にします。(^^ゞ
(photo:岩村城