しっかりポッコリ

 なかなか太る体質ではないが、痩せるときはすぐに痩せるほうである。
 まるで株価のようである。しかし最近の日経平均は、太る一方である。急激に太って大丈夫か、とさえ思う。もちろん僕には直接関係ないけれどーー。
 うらやましい体質だ、とときどきいわれる。しかし、身長と体重のバランスは「やや痩せ気味」で貧弱なので、けっしてカッコイイ体型ではない。
 もともと消化器系が丈夫なほうではなかった。とはいっても、下痢や便秘と仲がいいわけでもない。
 そしておかしなことに、毎日ビールを飲んで好きなだけ食べていても、ある一定の体重ラインがひとつの壁になっているのである。
 どうしても越せないのである。消化吸収や新陳代謝が悪いのだろう。ようするに燃費が悪いのだが、それをいいことに不摂生をきめこんでいる。
 それで、どうせまあ太らないんだからと、ろくに運動もせず日々欲望のおもむくままに過ごしていたら、当然のように筋力はおとろえ心肺機能も低下してくる。
 それで無くなった筋肉はどこへいったかというと、ある日の風呂あがり自分の裸体を鏡にうつしてみて愕然とした。
 貧相な胸板から徐々にカーブをえがいて、下腹のほうへポッコリと盛り上がっているのである。貧弱な上腕や胸にくらべて、てかてかとじつに血色がいい。餅のようにつまむこともできる。もちろんおいしそうではないが……。
 ーーこういうことなのか、と合点がいったが、心外でもあった。自分の身体でありながら、誰かにしてやられたようなくやしさを感じるのである。
 また中国にでも行ってしばらく生活したら痩せるのだろうが、ポッコリがなくなるようになると、「精悍」ではなく「ガリガリ」になるような気がする。(;_;)
(photo:美濃岩村の旧街道)