国の考えること

 住民票がどこでも取れるんです。ーーそれから?
 ですから、住民票がかんたんに取れるんです。ーーわかりました。で?
 つまり、住民票が取りやすくなるんです。ーー???
 かつて、鳴り物入りで導入された「住基ネット」のうたい文句がそれだった。というか、それだけだった。
 一般の人が、住民票が必要になるシーンというのは、そんなに頻繁にはおとずれはしまい。まったくマヌケなものを構築したものだ、と嘲笑していたのだが……。
 この夏の参院選の争点に「憲法改正」が浮上しつつある。なんとなく仕組まれたような感じだが、マスコミの宣伝のかいもあって、注目度が高くなってきている。
 今なぜ憲法なのか、それもよく理解できないが、その騒ぎの陰で「国民共通番号制度」法案が今国会を通過しようとしている。
 ーーつながったのだ。敵は計画的だった。住基ネットはこれの布石だった。
 つまり、国民一人ひとりに番号(マイナンバー)をふって、個人情報を一元管理しようというもの。とんでもないシロモノである。
 使いようによってはあらゆる情報があつめられ、個人が丸裸にされるだろう。
 たとえば金融資産。国内の銀行預金は、銀行が破綻した場合、現在ひとつの金融機関あたり1000万円まで補償される。逆にいえば、それ以上の預金はもどってこない。
 だからお金がたくさんある人は、金融機関を分散させておけばかなりリスク回避できる。
 ところが今後はそうはいかないかもしれない。当局によって預金額の総額が筒抜けになり、「一人あたり1000万円」というラインが引かれれば、どこに預けてあっても残額はすべて没収、お召し上げになる可能性がある。
 なにせ国は1000兆円近い借金をかかえている。しかしそのほとんどは国民からの借金だ。国民といっても銀行が主だけどね。
 しまいには、買い物するにもマイナンバーが必要になるかもしれない。SF? そうであってほしいけれど、利用価値は無限大。また、システムの危うさも無限大である。(-_-メ)
(photo:まだジャンボは健在だった)