季節はビール

 今日は初夏のような暑さだった。でも湿度は低くさわやかな一日だった。
 仲間といっしょに、自転車でツーリングに出かけてきた。山里はちょうど田植えの準備にいそがしく、水が張られた水田を渡る風がひんやりと心地よかった。
 ひと汗かいたあとのビールはまた格別である。ーーいよいよビールの季節である。
 もっとも僕は年中無休、ビール中毒のような状態なのだが、それでもやっぱり夏場と冬場のビールはちがうものである。
 とはいえ、毎日欲望にまかせて飲んでいるわけではない。そこは節度というものがある。だいいち、家でぐてんぐてんに酔うなんてことは、通常ない。
 おそらく、少し習慣化・中毒化しているのかもしれないが、ビールをめぐって大きな問題を引き起こしたということもないので、今のところやめる気はない。
 10年ほど前までは煙草を吸っていた。禁煙するまでは、煙草のない生活なんて考えられなかった。人生の楽しみがひとつなくなる、とさえ思っていた。
 しかし、やめてしまうと目の前の煙が晴れるように視界が良好になった。つまり、やめて困ったことはひとつもなかったのである。
 7〜8年ほど前に、外国で赤痢にかかって帰国した。治療のため食事が制限され、ビールも完治するまで御法度となった。
 3週間ほどの後、待ち望んだビール解禁の日がやってきた。しかしあれほど夢みたビールの味は、たいしておいしくなかった。あのときはずいぶんがっかりした。
 急性喘息になったときもそうだった。きっと身体がビールを忘れていくのだろう。なんと薄情な我が身か。どれだけビールのうまさにうち震えてきたことか、というのにーー。
 そう思うとビールもやめられるのかもしれない。でも確実に人生の楽しみがひとつなくなる、と思う。……たぶんね。(^-^)
(photo:GWの一日。岩瀬浜から立山連峰。ツーリングとは関係ないですが…)