あれから26年…

 最近はCDをあまり買わなくなってしまった。たまに買っても、昔のレコードの音源からデジタル・リマスターしたもの(CD)だったり、よく聴いていたバンドなんかの新譜だったりするのである。
 新しいものに手を出すのもリスクがともなうので、最近はついつい安全策をとってしまう。ところが昔のバンドは、同窓会的なものや生活のための互助的再結集だったりするので油断できない。
 いずれにしろ、まったくうしろ向きな傾向である。業界の罠にまんまとひっかかっている、といわれてもしかたがない。
 といいつつ、『アリスⅪ』という新譜を買ってしまった。あのアリスの26年ぶりの新アルバムである。
 この「26年ぶり」というのがすごい。完全な同窓会である。
 しかし音は、脱力した「同窓会仕様」ではなかった。まさしくアリスの音だった。進化した、といってもいいくらいだ。
 もちろん全盛期の切れ味はないが、トシをとった分深みが増した、とでもいおうか。谷村のセンスはあいかわらず申し分ないが、とくに矢沢がいい曲を書いている。
 どちらかというと、メンバー間格差のため目立たない存在だった彼ではあるが、ここへ来ていい仕事をしている。
 これは「当たり」だった。全国ツアーも決まっているらしいが……そっちは行かない。
 ライブはきらいじゃないが、あの会場一体感が苦手なのである。もちろんアリスに限らない。
 へそ曲がりのイヤなやつを自覚している。「熱狂」はするが「一体」はイヤなのである。「一体」にならなくてもいいのかもしれないが、そうすると「一体」の人たちに睨まれそうで、一体どうすればいいのかわからなくなるのである。
 その点クラシックのコンサートはいい。目をとじて「熱狂」していてもいいのである。変な「音」を出さないよう注意しないといけないがーー。
 しかし、アリスのメンバーの写真を見ると、26年という歳月を感じますねぇ。まあ、自分もそうだけど……。(O_O)
(photo:札幌、北大構内にて)