春の日の悪夢

 背中がゾワゾワする。気持ちがザワザワして、ヒタヒタと迫り来る恐怖にゾクゾクする。ジワジワと広がっているのはまちがいない。
 擬態語で遊んでいる場合ではない。あまり情報がないのが不気味な、中国の鳥インフルエンザのことである。
 現時点の情報によれば、感染者は80人を越え、死者も17人にのぼっているという。
 発生地域も広がっているので、潜在感染者はもっと存在するのではないだろうか。なにせ心配なのは、中国の保健・医療体制だ。
 日本では国民皆保険制度が充実していて、医療においてはあまり格差はないが、中国ではだれでも気軽に高等医療機関を受診することはできない。
 そこはやはり格差社会を反映していて、受ける医療サービスも金しだい、というところだろうか。
 今回のインフルエンザで集中治療室に入院すると、一日1万元かかる、という情報もある。日本円で16万円である。しかも前金で請求されるので、キャッシュがないと診察さえしてもらえない。
 じつは中国では、ホテルの支払いも前金である。というより、「寄託金」を取られるといったほうがいいのかもしれない。
 とにかくチェックインのときに、ひどいときには実際の宿泊料の2倍くらいの「寄託金」をとられる。それはもちろんチェックアウトのときに精算されるのだが、何回泊まってもあのルールは好きになれない。
 クレジットカードのほうが楽で使いやすいが、こちらはスキミングされる恐れがあるので、めんどうでも現金のほうがよさそうである。
 で、話しはそれたが、そんな中国社会ゆえ公表される感染者数は氷山の一角ではないか、と考えられる。それにしてもかなりの致死率であるーー。
 花粉や黄砂、はてはPM2.5などという微小物になやまされている我が国。春といえども、なかなか気分すっきりとはいかない。地震も頻発するし、物価も上がる。北の国からミサイルも上がる(やめてほしいが)。
 このうえインフルエンザでパンデミックときた日にゃ、悪夢である。(;O;)
(photo:上海市街)