TPPのうさんくささ
最近の我が国をみていると、どうも危なっかしくてしょうがない。円安株高で巷はうかれているけれど、行く手には “ジョーズの大きな口” が待ちかまえているような気がしてならない。
心配のひとつはTPPである。菅内閣のときに、彗星のようにあらわれたこの「環太平洋経済連携協定」。分野が多岐にわたるので、あるいは利益を得る業界もあるかもしれないが、予想されることをひとつふたつあげてみよう。
まず、医療関係ね。日本は国民皆保険である。これは、世界に誇るべき制度だ。
ところがTPPに入ることによって、医療の世界に競争原理が導入され、日本の公的医療保険が医療市場の拡大を妨害しているとして提訴される可能性がある。
そうなると、成り行きによっては国民皆保険制度が崩壊し、貧乏人は医者にかかれなくなるのである。
つまり、国民は民間の保険制度に加入しなくてはならず、そこでは当然、サービスと価格を検討しなくてはならなくなるのである。
こういうことは、ほとんど大手メディアが報道しない。原発事故でわかったことだが、ここでもメディアのスポンサーが暗躍している。
もうひとつピンポイントで例をあげれば、米の問題。消費量は年々減っているというが、それは主食の米に代わるものがあるということ。
たとえばそれはパンや麺類かもしれないが、主原料の小麦はほとんど輸入である。これはこれで危険な状況だが、TPPの結果、もし安い米が大量に入ってくるようなことになれば、日本の稲作農家は壊滅である。
いや、壊滅とまではいかないだろう。「高くても安全」な米は、富裕層が消費者となるだろうから。
つまり貧乏人は、安くてまずい、農薬まみれの米を食うしかなくなるのである。カリフォルニア米がいくら日本人の嗜好に合わせても、もともとあそこは稲作に適しておらず、ムリをして収穫し、ポストハーベストまみれで日本にやってくるのである。
その「ムリをして」というのは、いうまでもなく農薬、除草剤、遺伝子操作の問題がからんでいる。
ーーとまあ、乱暴にいえばTPPというのは、アメリカのルールに合わせればみんなうまくいくよ、という内容なのである。
ようするにアメリカの都合。日本ではお金持ち、大企業の都合なのである。( -_-)
(photo:長崎の孔子廟)