脱原発はどこへいったのか

 アベちゃんが登場してから円安が進み、日経平均株価も急上昇している。投資家は、久しぶりに希望に満ちた新年を迎えたことだろう。しかし今のところはどうも、政権への期待からくる「ムード」が先行しているようだ。
 ーーなどと、エコノミストのようなことを書いてしまった。
 で、現在の状況分析や今後の展開など滔滔と述べたいところだが、それはシロウトにはムリだ。わかっているのは、旧来の自民党がとってきた政策がまたもどってきた、ということぐらいである。
 もちろん、「脱原発」もどこか一千光年のかなたに追いやられた感じである。大多数の国民が原発推進政策を望んでいないにもかかわらず、選挙で反映できなかったばっかりに推進派や肯定派に力をあたえてしまった。
 脱原発派がまとまりを欠いたのは確かだが、原発をやめて自然エネルギーへ、という方向はどうも説得性と現実感に乏しい。
 方向は正しいと思うし僕も大賛成だが、すべての原発がなくても電気が足りていることがわかったからには、不安定で発展途上の自然エネルギーを前面に出して訴える必要性はあまりない。もっと効率よく安定的に電気を供給できる技術が確立するまで、じっくり取り組めばいいと思う。
 それまでは化石燃料を使った発電でいいではないか。石炭火力発電の技術は世界トップクラスだし、天然ガスを使用する施設は原発とはくらべものにならないくらい安価で簡単である。
 石炭の枯渇は当面心配なく、天然ガスならさらに存在する。くわえて、シェールオイルメタンハイドレードなどの新しい資源も開発可能となってきていることから、危険な原発に依存する理由などますます見あたらない。
 ところで、自然エネルギーはクリーンなイメージだが、はたしてそうだろうか。
 たとえば風力発電では、騒音、低周波被害、バードストライクなど様々な問題があり、そもそも巨大な風車を建設するために自然破壊がおこなわれる。
 そしてやはり、建設地はだいたい過疎地なのである。原発と同じである。
 また、太陽光発電では、まず膨大な電気を使ってパネルをつくらなければならない。そしてそれを大地に敷きつめれば、光も通らない不毛の地となる。だいいち、お天道様頼み、というところが不安定要素である。
 ほかにも地熱発電、小水力発電などいろいろあるが、即戦力になるにはやはりまだまだ時間がかかりそうである。
 さて、オバマにふられたアベちゃんである。アメリカ(それと、財界)のご機嫌うかがいはどうでもいいではないか。じっくりと、先を見据えた一般庶民のための政策を打ち出してほしい。
 なにしろあなたは、国民からけっして積極的に選ばれた人ではない、ということを忘れないでほしい。(^^ゞ
(photo:風力発電基地。平戸にて。再掲載)