多国籍新年会

 日本語を学ぶ学習者はたいがい若者である。留学生、研究生、研修生がほとんどである。
 おしえる者と学ぶ者の関係、つまり対等な関係ではないうえに、国籍はちがうし年齢差もあるので、意気投合することなどまれである。ようするに「一線を越える」ことがないのである。
 この場合の「一線」とは、いわゆる男女のアレではなく、友情がめばえて友人化する、ということなのであります。
 「アレ」だったら、こじれると国際問題に発展するかもしれないし、それはそれでけっこう大変なのだろうなぁ。ーーなどと感心していてもしょうがない。
 とはいえ、ときどきはクラスをはなれての交流はある。たとえばいろいろな行事や、外国人にたいして多少の便宜をはかるあれやこれや、などはある。
 しかし、思わぬサプライズもたまにある。
 先日、ある留学生、研究生グループの新年会に招かれた。国籍は中国、ベトナムキルギスインドネシアイングランドと多彩だった。すべて20代30代の若者である。
 そのなかに一人、くたびれた中年男がまじったわけだから、はたから見れば多少違和感があったことだろう。
 飛び交う共通語は英語である。ちゃんと会話に参加していれば、あるいはもしかして、この男は彼らの先生なのか? と思われたかもしれない。
 しかし、英語が中学レベルの日本人中年男のために、彼らはゆっくり喋ってはくれないのである。音楽の話題のときにとなりのイングランド人と会話したのは、
 「好きな歌手やバンドは?」(僕)
 「U2かな」(彼)
 「へ〜、me too」
 「あなたは、ほかに?」
 「あ〜、oasisとか……」
 「Oh! マンチェスターのバンドだ。ぼくの故郷だよ」
 ーーなんていう程度である。
 ま、でももちろん楽しいひとときであった。心優しい彼らには感謝である。(^◇^)
(photo:料理も多国籍)